今月の文藝春秋に、富岡幸雄先生が「税金を払っていない大企業リスト」というタイトルで、法人税の実態を書いている。法人税負担が見た目ほどではないことは、専門家には常識だが、一般誌で数字を明かした意味は大きい。ここから議論は広がるように思う。 「金利上昇時には財政破綻」と叫ぶ人には、受取配当金の益金不算入で2兆円の穴が開いており、証券優遇税制で1兆円も減収になっている実態を見てほしい。本当に心配なら、消費増税より、景気回復時の増収を考えて、ここを塞いでおくことが重要なはずだ。 折りしも、昨日の日経夕刊は、上場企業が利益7割を株主に配分し、過去最高になることを伝えている。もはや、近視眼的で長期投資を怠っていると批判されてきた米国企業並みだ。味の素の伊藤社長は、「有望な成長投資先が見つからなければ、利益は株主配当に充てる」とする。法人減税で投資拡大の論者は、この現実を見てほしい。 他方、財政当局は、