ブックマーク / okemos.hatenablog.com (56)

  • クリスティーナ・ローマー:大恐慌からの教訓 - P.E.S.

    オバマ政権の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長で、元カリフォルニア大学バークレー校の経済学教授であるクリスティーナ・ローマー(この三腕の人)がブルッキングス研究所で3月9日に大恐慌からの教訓について述べたそうです。そのペーパーがオンラインに公表されてましたので、イントロ部分はおいといて*1、教訓部分だけ訳しました。もちろんローマーは経済学者ですが、今はオバマ政権の経済担当のトップの一人ですから、オバマ政権の景気対策についての考えを知る上でも面白いのではないかと。といっても、特に変わったことを言うわけではなく、経済対策としては当たり前の事がのべられているだけではあります。また別に研究論文でもないので、大恐慌からの教訓についても特に新しいことが述べられているわけでもありません。簡単なサーベイ論文みたいなものです。ただ、ニューディール=ケインジアン財政政策といった混同がいまだに結構あるようで

    クリスティーナ・ローマー:大恐慌からの教訓 - P.E.S.
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    Baatarism 2009/03/12
  • クルーグマン:日本再考 - P.E.S.

    久しぶりのクルーグマン翻訳。何しろ日についての、ある意味ポジティブな文章なので訳しときました。ある意味、ですけどね。クルーグマンはオバマの経済対策をtoo small, too lateと批判してますので、そこら辺の苛立ちもあるんだろうな、とは思います。 日再考 ポール・クルーグマン 2009年3月9日 十年かそれ以上に渡り、日の失われた10年は現代マクロ経済学にとってのお化けであった。経済学者は、Xをしてはいけない、あるいはYをしなければいけない、さもないと日になってしまうぞ、という警告を繰り返し、そして政策決定者は、まごつき彷徨っては厳しい決定を下す事を避けてきた日の政策決定者達と自分たちが違うのだと、自分達をあらかじめ褒め称えてきた。 さて、これを言うのは私だけではないことは間違いない。日はもうそんなに悪くはみえないのだ。 たとえば、日の政策の有名なのろくささ−銀行部門

    クルーグマン:日本再考 - P.E.S.
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    Baatarism 2009/03/10
    ただ、日本は肝心なところで増税や利上げをして景気回復を潰したからねえ。アメリカはこの轍は踏むんだろうか。
  • クルーグマン:流動性の罠のなかでの最適財政政策 / P.E.S.

    明けましておめでとうございます!新年の元旦を皆様はどうお過ごしですか?おれは東京に出てきたたばかりでいく所もありませんから、朝から翻訳してました。とっても有益ですね!その前の大晦日の晩は、スコセッシュ/デニーロの「タクシードライバー」を観てました。やっぱりアメリカンニューシネマは良いです。トラヴィスのいってしまっているへたれぶりがよいです。これ、初めて観た時はあれだけの事をしたトラヴィスが何事もなかったかのように元通りの生活に戻っていることが理解できずに戸惑ってしまってましたが*1、今になるとあれはヘタレで頭の悪い70年代のフィリップ・マーローなのかな、と思います。強くなければ、優しくなければ...でもだれもがマーローなんかになれるわけもなく。卑しき街を彷徨う騎士なんて、なかなかなれませんです、はい。 さて、このところアセモグルの論文をずっと訳してきましたが、おれの受け持ちパートはひと段落

    クルーグマン:流動性の罠のなかでの最適財政政策 / P.E.S.
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    Baatarism 2009/03/06
    クルーグマンが財政政策に傾いている理由はこれか。
  • アメリカのブログにおけるリベラルの優勢:コスのインタビュー - P.E.S.

    とは違って、アメリカのネットの世界ではリベラルが優勢と一般的に言われています。実際、いかにすればネットにおいて保守の勢力がひろまるのかが、最近の保守系ブロガーの話題の一つになってるくらいで。共和党もなんとか、ネットがんばってます!というビデオをつくってたりしてます。ネットというといまだに若者のメディア、という認識が強い事もあり、党の将来の事を考えてもネットをがんばって若者を取り込まないと!という危機意識は分かるんですが、2008年の大統領選共和党候補マケインの娘でマケイン陣営のブログを書いていたメーガン・マケイン(彼女は24歳)から、ビデオに出てくるのが50-60代以上ばかりで、これじゃだめだわ、とか言われてしまってます。暗いです。そんななか、リベラルブログといえばここ、となっているDailyKosのパブリッシャー、Kosことマーコス・モーリタス・ジニガが自身の2年前のインタビューの抜

    アメリカのブログにおけるリベラルの優勢:コスのインタビュー - P.E.S.
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    Baatarism 2009/02/26
    アメリカで「日本のネットでは保守派の方が優勢ですよ」と言うと、驚かれるのかなあ。
  • 経済規模とGDPについて - P.E.S.

    追記あり。追・追記あり。コメント欄も参照してください。 来る予定だった仕事が来なくて時間が空いてしまったので...(どうなってるんだろう?) 弾小飼さんがGDPの事について質問されてましたので、この空いた時間を埋める為に使ってみる事にしました。俺も一応は経済学徒なので、こういうのはちょっと気になるわけですので。ただ、俺は経済学説史をちゃんと勉強した事はないですし、ノーベル経済学賞を取れる見込みもない人間ですので、何の権威もありません。ここで書く事はあくまで俺自身の考えであることは、先に述べておきます。でもスタンダードな返答だとはおもいますが。 さて、その質問というのは経済成長の意味と、あとGDPがカバーする範囲についてのものだと理解します。具体的には、各家計がお隣とペアになって、お隣の家事を年間1200万円でやってあげたらそれだけでGDPは倍になっちゃうよ、でもこれ何の意味があるの?ってこ

    経済規模とGDPについて - P.E.S.
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    Baatarism 2009/02/03
    dankogaiさんの疑問に対する回答(あるいは反論?)
  • マクロ経済学の暗黒時代、あるいはクルーグマンはハリ・セルダンになろうとたいのか? - P.E.S.

    クルーグマンのブログエントリーの翻訳です。これも財政政策に反対する保守派経済学者を批判するものなんですが、無茶苦茶言葉が厳しい。冗談ぽくしつつも、よくここまで言えるな、と思います。でもそういうものの方が読んでて面白いですね。ところで、クルーグマンはアシモフのSF「ファウンデーション」シリーズのなかに出てくる心理歴史学という架空の学問に興味をもった事が経済学へのかかわりの第一歩だったようですが、そのシリーズの中では心理歴史学を作り出した数学者ハリ・セルダンは銀河帝国崩壊後の暗黒時代の短縮のためにファウンデーションと呼ばれる文明の飛び地の創設を行います。もしかしたらクルーグマンも結構そういう気分なのかな、と訳していて思ってしまいました。 追記:ssuguruさんの指摘を受けてタイポを修正しました。ssuguruさん、ありがとうございました。 マクロ経済学の暗黒時代 (ちょいむず)  ポール・ク

    マクロ経済学の暗黒時代、あるいはクルーグマンはハリ・セルダンになろうとたいのか? - P.E.S.
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    Baatarism 2009/01/29
  • マックとアタリとホワイトハウス - P.E.S.

    オバマが「次期大統領」から「大統領」にかわり、オバマ政権がホワイトハウスでの活動を開始しました。オバマ選挙陣営はテクノロジーの優れた利用で名を馳せましたが、ホワイトハウスのテクノロジーも大したものらしいです。 ワシントン・ポスト オバマ陣営の選挙キャンペーンが新しくてピカピカのiPhoneのような未来だったとしたら、オバマ政権の初日は黒電話式の過去のようなものだった。 歴史上、技術的にもっとも進んだ大統領選のキャンペーンを立ち上げた2年後、オバマ政権の高官達は昨日、連邦政府の官僚制度の制約にぶち当たることとなった。つながらない電話線の群れ、古いコンピューターソフトウェア、そして外部のメールアカウントを禁止する機密保持の規制に直面したのだ。 ... 「Xボックスからアタリになったような感じだ」、とオバマのスポークスマン、ビル・バートンは彼の新しいすみかについて語った。 ... ホワイトハウス

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    Baatarism 2009/01/23
    ホワイトハウスのIT環境のレガシーぶりについて。
  • クルーグマン:恒星系間貿易の理論 - P.E.S.

    このブログのタイトルは、政治(Politics)、経済学(Economics)、そしてSF(Science Fiction)という、おれの興味のある分野のそれぞれの頭文字から取ってるのですが、残念ながらプロフィールにも書いたように、これまでSFについて書くことはあまりありませんでした。それなのに、ついに経済学SFタグを同時に使える日が来ようとは!クルーグマン、ありがとう! というわけで、またまたクルーグマンの論文、それも彼の専門の貿易分野についてのものです。かなり前から訳そう訳そうと思っていながらぐずぐずしていたのですが、もうそろそろ忙しくなりそうなのでその前に訳してすっきりしておくことにしました。そもそもこれを訳そうと思ったのはこれが国際貿易ではなくて恒星系間、つまり異なる太陽系間での貿易についての論文だからです。この手のものではアシモフのチオチモリンが有名ですが、論文の形式についてだ

    クルーグマン:恒星系間貿易の理論 - P.E.S.
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    Baatarism 2009/01/08
    この論文が、イグノーベル賞授与式のハイゼンベルグ(不)確定性講演に繋がるのか。←違うw
  • UAWの時給は70ドルもない! - P.E.S.

    あー、もう、ほんとはこんな事は書きたくないのですが仕方ない。この日経ビジネスオンラインの記事がいい加減な情報を垂れ流しているのがむかついてます。その情報がいい加減な事は一応その記事のブクマへも書いておいたのですが、それを信じているブクマコメもあるのでこっちにも書いておきます。 日経ビジネスオンラインの記事ではインタビューを受けている方のコメントとして、全米自動車労働組合(UAW)の組合員の時給が70ドルもあると書かれていますがこれはいい加減な情報、いやはっきり言えば嘘です。この嘘はアメリカのメディアやブログでも色々と垂れ流されてしまっているようですが*1。日でもアメリカ自動車産業の問題として退職者への年金と健康保険支払いというレガシーコストがあるという事は良く報じられてますが、70ドルというのは現在の労働者の人件費と、退職者へのそのレガシーコストを含めた総額を現在の労働者数で割った額です

    UAWの時給は70ドルもない! - P.E.S.
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    Baatarism 2008/12/15
    ありゃりゃ、僕も騙されていたのか。(汗)
  • アメリカの有権者を改善するアメリカ式方法 - P.E.S.

    ファイナンシャル・タイムズでブログを書いてるGideon Rachmaさんが世界平和について書いたところ、アメリカの右派サイトDrudge Reportによって扇動された右派から誹謗中傷メールを7時間で200通以上もらったそうです。その200通のメールの内容をGideonさんが分析していてそれも面白いのですが、それを受けてのブラッド・デロング教授のコメントが... I am disappointed, however, that Gideon continues to pull his punches. He does not endorse my call for immediate execution of the Canada Plan--the conquest of Canada by the United States in order to transform America

    アメリカの有権者を改善するアメリカ式方法 - P.E.S.
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    Baatarism 2008/12/12
    カナダ合衆国建国案ですか。w
  • スティグリッツ:見返りを受け取ろう - P.E.S.

    正直、これまでスティグリッツの翻訳は避けてました。反資主義でもなんでもない俺には、スティグリッツは結構微妙なところに来ているように思えましたから。クルーグマンは人も言っているように資主義のちょっとした修正、というかある意味ノスタルジーっぽい1950・60年代への回帰を言ってるだけですが、スティグリッツは別に社会主義を言ってるわけではないのは分かるにしても、まるで復活したジョン・K・ガルブレイズを見ているかのようなムズ痒い感じが最近はありましたので。でもまあこのイギリス・ガーディアン紙に載ったスティグリッツの文章を読んで、うーん、やっぱりこれまで色々と思うところがあったんだなぁ、と感じてしまいましたので訳してみます。 追記:はてブの方でも指摘されてますように、ステグリッツがクルーグマンと比べて急進的(これは社会主義的って意味だと思いますが)って事はないと思います。少なくともこの文章につ

    スティグリッツ:見返りを受け取ろう - P.E.S.
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    Baatarism 2008/12/08
  • ケネス・ロゴフ:インフレを受け入れよう - P.E.S.

    ケネス・ロゴフがイギリスのガーディアン紙に寄稿した、金融危機対策です。インフレを起せと言ってられます。まあ、それはいいのですが、起した後、行き過ぎてしまう可能性はどうするのかについての答えが...そんなに簡単なら、ヴォルカーのインフレ退治はなんだったんだと。 インフレを受け入れる  ケネス・ロゴフ  2008年12月2日 今は、世界の主要中央銀行が、適度なインフレの発生は現在の負債に関する大問題の中で、大いに助けとなってくれるだろう事を認める時だ。 確かに、インフレは経済の中の[インフレに]連動されていない全ての債権の実質的な価値を削減してしまう、アンフェアなやり方ではある。物価のインフレにより、債権者は減価した通貨での返済を受けることになる。確かに、原則的にはインフレに拠らずに金融システムの問題を解決するすべがあるはずだ。[だが]残念ながら、銀行への資注入や住宅ローン債務者への直接救済

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    Baatarism 2008/12/05
  • クルーグマン:財政赤字と未来 - P.E.S.

    クルーグマンのニューヨークタイムズのコラムです。これは明らかにこのマンキュ−のニューヨークタイムズへの寄稿(翻訳)を意識していると思います。 財政赤字と未来  ポール・クルーグマン 2008年12月1日 今現在、合衆国政府が経済を上向かせる為にどれほど積極的になるべきかについての激しい議論が起っている。私自身を含んだ多くの経済学者は、経済がこのまま落込んでいく事のないように非常に大規模な財政出動を主張している。だが他の者達は、その大規模な財政赤字が将来世代に課す事になる負担の事を懸念している。 しかし、赤字を心配している者達は完全に勘違いをしているのだ。現在の状況の下では、短期的によい事と長期的によい事の間にトレードオフはない。強力な財政出動は経済の長期的な見通しをも実のところ好転させるだろう。 財政赤字は長期的には経済を悪くするという主張は、政府の借り入れが民間投資を「クラウドアウト」し

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    Baatarism 2008/12/02
    日本の財務省的な考え方に対する全否定ですね。
  • サマーズ&マンキュー:経済学者は頭がいい! - P.E.S.

    ちょっと古い話なんですが。オバマの経済チームに入ったローレンス・サマーズは、2001年にハーヴァード大学の学長になるものの、これでもちょっと触れたように色々と舌禍やら筆禍やらの事件を起しまして、2006年に追い出されて辞める事になります。で、その中の一つにこんなのがあったよという話です。政治学者のヘンリー・ファレルさんとその他の人達のブログThe Monkey Cageから。 政治学者は経済学者よりアホで、社会学者はさらにアホなのか?  ヘンリー 2008年11月29日 普通はダブル・ポストなどしないのだが*1、このラリー・サマーズのコメントは多分、政治学者の間での議論に値すると思うので。 サマーズが2001年に学長になって少ししてからのランチの席で、サマーズは予算を社会学部から、多くの経済学者や政治学者が在籍しているケネディー・スクールへ移す事を提案していたとエリソンは語った。「サマーズ

    サマーズ&マンキュー:経済学者は頭がいい! - P.E.S.
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    Baatarism 2008/12/01
  • マンキュー:ケインズならどうしていただろうか? - P.E.S.

    マンキューのニューヨークタイムズへの寄稿です。彼のブログで書いてた連銀によるターゲットとかも含めて、まあ色々語っていてはいますが、結局なにか内容のあるものじゃないです。まあ、クルーグマン等、財政支出増へ向けて勢いづく左派へ、右派から嫌味の一つも言ってやりたい、あっ、でも俺って結構穏健ないい人のイメージで売ってるからニューヨークタイムズであんまり露骨な事も書けないし、だからまあ抑えた思慮深い感じでいってみるか、みたいな文章です。 ケインズならどうしていただろうか?  グレゴリー・マンキュー 2008年11月28日 経済が直面する問題を理解する為にすべての経済学者の中から一人だけ選べということになるなら、まず間違いなくその経済学者はジョン・メイナード・ケインズになるでしょう。ケインズは50年以上も前に亡くなっていますが、不況と恐慌に関する彼の診断は現在のマクロ経済学の基礎となっています。彼の洞

    マンキュー:ケインズならどうしていただろうか? - P.E.S.
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    Baatarism 2008/12/01
    マンキューはツンデレなのだろうか?w
  • クルーグマン、ノベール賞受賞への反応 - P.E.S.

    当たり前ですけど、クルーグマンのノーベル賞受賞への色々な反応が出てますね。で、これまた当たり前ですけど、各人の政治的立場に応じて受賞への反応は予想通りに分かれてます。経済学者のブログを見ても、リベラルは賞賛(たとえばBrad DeLong、Dani Rodrik)、保守はニガニガしく思いつつも賞賛するか(Tyler Cowen)か、おめでとうの一言の後、皮肉が続くなり(http://www.marginalrevolution.com/marginalrevolution/2004/07/paul_krugman_gu.html:title=Bryan Caplan])、批判サイトへのリンクを貼り付けるなり(Greg Mankiw)してます。 ただやっぱりそうなのかなと思わざるを得なかったのは、リベラル経済学者でもクルーグマンの大学の外での活動(政治、非政治的双方を含む)も受賞の要素の一

    クルーグマン、ノベール賞受賞への反応 - P.E.S.
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    Baatarism 2008/10/16