家宣(いえのぶ)・家継(いえつぐ)2代の将軍に仕えた新井白石は、儒学者として政治改革を進めつつ、武士としての誇りを持ち続けた。武家独自の「礼楽(れいがく)」を興(おこ)し、官位制度に代わる勲階制度を提案、将軍の対外的呼称の変更に関わる。さらに家宣の能楽愛好を諫め、貨幣復古政策を推進するなど、神君家康の徳を継ぎ、江戸幕府と徳川氏の永続実現に奮闘した生涯に迫る。 肖像画の白石―プロローグ 武人(武士)白石 武人の心性 武士の誇り 赤穂事件と白石 軍事の重視 武家の旧儀による「礼楽」 「礼楽」を興す時 武家官位に代わる勲階制度―公武各別のための制度(一) 武家装束の整備―公武各別のための制度(二) 武家国家の外交―日本国王 「楽」を興す 家宣の能楽愛好に諫言 家宣と能楽 家宣と雅楽 天皇(公)と将軍(武)の関係 武家政権の優越性 公と武の関係 「天命維新」の試み 「天命」再降下 幕府危機への提案