千葉県館山市沖で見つかったエンタクミドリイシ。これまでの北限は静岡県・伊豆半島だった=国立環境研究所提供 サンゴの分布が北上する異変が国内の海で起きている。海水の温度の上昇で、本来なら死滅する種類のサンゴが生き残りやすくなっているからとみられる。漁業に悪影響を与える恐れもあり、国立環境研究所は少なくとも10年かけて大規模な定点監視調査に乗り出す。 北上現象が確認されているのは、千葉県館山市沖、和歌山県南部の串本沖、長崎県の五島列島など。 館山市沖では07年、それまで分布していなかったサンゴの一種エンタクミドリイシが発見された。伊豆半島が北限とされていた種類だ。 串本では、それまでみられなかった南方系サンゴが特にたくさん見つかっている。串本海中公園センターの野村恵一・学芸員によると、90年代半ばからサオトメシコロサンゴやスギノキミドリイシなど23種の南方系サンゴが新たに定着。五島