正社員になっても… それでも、仕事への関心の高さは維持されていた。尊敬する先輩社員もおり、近いうちに正社員登用の面接もあるだろうとの期待もあったからだ。働き続けていれば、20年の東京オリンピックにも仕事を通して関わる見込みがあった。 正社員登用の話があったのは、まさにそんな時期だ。 航太さんの死後にわかったことだが、淳子さんが同僚社員に話を聞いたところ、昼夜を問わないような働き方をしていたのは航太さんだけだったと証言したという。 航太さんにすれば、現状が厳しいのはアルバイトだからで、正社員になれば求人票通りに、夜勤なし、マイカー通勤不可が適用される見込みがあった。おそらく本人はそう思ったのだろう。 そして、アルバイト開始からちょうど5カ月後の14年3月16日、航太さんは正社員に登用されたが、最後の期待が裏切られた。正社員登用後の1カ月の残業時間が約87時間だったことは前述の通りだ。 さらに
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