中国の人工島はアジアの海の支配権を巡る新たな争いを煽っているが、地域の超大国である中国が大洋から軍事基地を浚渫(しゅんせつ)している間に日本は浴槽で島を1つ育てている。 この島は沖ノ鳥島と呼ばれている。陸地から遠く離れ、嵐に見舞われるフィリピン海の環礁で、高潮時には2つの露頭が海面から突き出す。 日本は沖ノ鳥島を自国領土の最南端と見なしているが、中国はこれは島などではなく、ただの岩だと言っている。 数千年にわたり、陸地が沈むにつれて上層部にサンゴの層が育ち、環礁のてっぺんは海面上に出ている形が保たれてきた。だが、沖ノ鳥島は死につつある。気候変動によって海面が上昇し、サンゴが死んでいくからだ。残っている地形を台風がかじっていく。 このため日本は岩礁を再び育てる必死の取り組みに乗り出している。その結果次第で戦略的な要塞の運命が決まり、南シナ海に法的な波紋を広げるとともに、気候変動に脅かされてい