テーブルには、今、2つの提案がある。1つは債権団からの提案、もう1つはギリシャからの提案だ。2つに共通していることは、どちらもギリシャ経済を修復しない、ということだ。双方はうわべを取り繕うことさえしていない。どちらの提案も、きっぱり拒絶されるべき代物だ。 欧州の実務家が長い交渉に入ると、常に、技術的な詳細に没頭してしまい、本質的に大きな構図を見ることができなくなる。 彼らは2016年のプライマリーバランス(債務の利払い前の基礎的財政収支)の黒字が国内総生産(GD)比1.5%であるべきか、それとも2%であるべきかという議論に何週間も費やしておきながら、一見、自分たちのさまざまな予想の誤差がプライマリーバランスのこの小さな差より何倍も大きいことに気づかないようだ。 経済外交を担う人々は事の本質、すなわち、ギリシャがユーロ圏内で存続し、いずれ繁栄できるようにするという協議のそもそもの目的を見失っ