安倍晋三政権は今年5月14日、一連の安全保障関連法制を閣議決定した。その後の記者会見において、安倍首相は冒頭、日本を取り巻く厳しい安全保障環境を指摘し、万一に備え、日米同盟を強化する必要があり、そのため「新たな三要件」による「極めて限定的な集団的自衛権を行使できることにした」と述べている。 しかしながら、与党協議での合意は難航し、野党各党、一部国民世論の中には、依然として、米国の戦争に巻き込まれるとの不安などを理由に、反対論も根強く見られる。 なぜ、いま集団的自衛権の行使が必要なのかについては、昨年7月1日の閣議決定でも、述べられているように、「我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している」との「厳しい現実」がある。 この点を、周辺情勢を踏まえつつ、「厳しい現実」を明確にすることなく、法律論に終始していても、その必要性は理解できないであろう。何よりも、日本を取り巻くバランス・オブ・パワ
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