オレンジ革命の立役者として名を馳せ、2010年の大統領選挙では決選投票に進み、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチに惜敗したティモシェンコだが、2014年の大統領選挙・議会選挙では得票が伸びず、明らかな退潮傾向にあった。 しかしウクライナ経済のマイナス成長が続くなか、市民の政権批判を吸収し、再びかつての地位を取り戻しつつある。 ティモシェンコは「親欧米派」「改革派」などのレッテルを貼られてきたが、その本質はポピュリストであり、経済改革を進めるうえで注意すべき人物である。 「野党政治家」ユリア・ティモシェンコ 1960年、ウクライナの産業都市ドニプロペトロフシクで生まれたティモシェンコは、90年代半ば、天然ガス輸入業によって巨万の富を築き、ウクライナ最大の企業家として躍り出た。 次いで2000年から2001年にかけての「クチマ(大統領、当時)なきウクライナ」運動、2004年のオレンジ革命、そして201