スタンフォード大学に入学した若者が批判をされていた。当事者の人や出来事そのものに対して思うところは特にないが、その批判のされ方はかなり興味深かった。揉め事を面白がっていたわけではなく、ここ数年、調べている領域に関係していたからだ。しかし私が興味を持った点について、上手く言語化できているものがなかった。せっかく考えたことなので、ここで軽くまとめておく。 昔から恵まれた人の苦労話はあまり好かれていなかったが、今はより批判されやすい時代になってきている。これは批判の構造が変ったというよりも、情報量が増えたことに由来するものだろう。 まずは批判される構造である。私は明治が好きなので明治の事例を出すと、当時は清貧が一種の価値を持っていた。いたずらに富を求めず、正しい行いをして貧しいのが清貧である。清貧には価値があるとされる社会では、資産がある人の中に清貧でありたいと考える人が出てくる。彼らが貧乏を気