ここで私は冒頭に記した「嗜好の受動性」に立ち返りたい。仮にどのような性嗜好であれ、それを抱いてしまったきっかけは本人の意思によるものと限らない。私が実写の幼児ポルノをとりわけ嫌悪するのは、それに「出演」させられた児童の心に消し難い傷跡が残すからでもある。幼時の原体験は生涯に亘ってその人を強く支配する。これを「性犯罪者は累犯傾向が強い」と言うこともできる。だがここで気をつけねばならないのは「犯罪ではない内心の傾向」としての嗜好、露骨に記すなら個人の性の嗜好が、決して本人の意思のみで決定されず、多くの場合受動的に刷り込まれてしまう事実だ。密かにトラウマを負いながら、誰に迷惑をかけるでもなく、内心「ロリコン」である人々を東京都は、あるいは私たちは「撲滅」してしまうべきなのか? アキバやコミケに集う、ロリコンを自覚したオタクの中には、二次元のキャラクターによって性欲という「思い」を喚起される人が存