1560年、15歳のルクレツィアはフェラーラ公と結婚するが、1年も経たずに急死。死因は公式には「発疹チフス」とされたが、夫に殺されたとの噂があった。 フェラーラ公アルフォンソ2世デステに嫁いで公爵夫人となったルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチは実在した人物だ。 しかし後世に伝えられている事柄はあまりに少ない。 まず、肖像画がみつからない。 両親や兄弟たちの物はあるのに彼女本人の物はどこにもない。 ようやく見つけた小さな小さな肖像画は、家族たちとは別の美術館の小さな一室、 下側に取り付けた消化器の陰にあったという。 著者マギー・オファーレルは、家族から見放され歴史からも忘れ去られた、この16歳で世を去った女性を再び鮮やかに甦らせた。 ルクレツィアが15歳まで過ごした城 この本の面白さ ◆冒頭、1561年 人里離れた砦の中でルクレツィアが夫と食事しているシーンで始まる。 "夫がここへ連れ
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