交渉論と去勢否認の関係で、ラカンの「三人の囚人の話」を取り上げ、少しだけ触れるつもりだったのですが、考えているうちにどんどん深みにはまりました。今後も参照する機会が多いと思うので、以下に資料として引用しておきます。 ジャック・ラカン『エクリ 1』 p.263-4より。強調は引用者。 論理的問題 刑務所の所長が三人の囚人をとくに選んで出頭させ、次のような意見を伝えた。 「きみたちのうち一人を釈放することになった。その理由はいまここで言うわけにはいかない。そこで、もしきみたちが賛成するなら、この一人を決めるために或る試験をしたいと思っている。 いまきみたちは三人いるが、ここに五枚の円板がある。そのうち三枚が白、二枚が黒というふうに、色だけによって区別されている。わたしはこのうちどれを選ぶか理由を言わないできみたちの背中に一枚ずつ円板を貼る。直接これを見ることはできない。ここには姿を映すようなも