世界中の人々に、本場の日本料理を食べてほしい 伏木亨氏(以下、伏木):それではこのシンポジウムの趣旨を説明させていただきます。 まずタイトルに「品位」を掲げたのは、ちょっと勇気が必要でした。料理人さんたちと、それから大学の研究者が初めて出会ったのが十数年前です。その頃は日本料理って斜陽産業やったんですよ。もう「お客さんがぜんぜん来ない」「これから先いったい我々はどうなるんだろうか」と、料理人さんたちが口々に言っておられた。 そして私たちと一緒に、科学という視点で料理をもっとおいしくする。フレンチやイタリアンやいろんな料理が日本に来る中で、日本料理が一番おいしい料理でなくちゃいけないと、こういうことを目指してずっとがんばってきました。 それは時期も良くて、今もう日本料理はある意味ではもう絶好調じゃないかと思うんです。海外にもどんどん日本の料理が出て行きますし、またこの京都にも海外からたくさん