市役所や県庁の公共工事で「談合」が行われれば犯罪行為として断罪されるが、マンションの管理組合が発注する大規模修繕工事ではどうやら、それが常態化しているらしい。マンション修繕や管理のコンサルティング会社シーアイピーの須藤桂一社長は、そんな業界の実態を明かす。 分譲マンションに住む人ならご存知の通り、住民は管理費のほかに修繕積立金を毎月支払うのが一般的だ。十数年に一度の頻度で行う大規模修繕のために積み立てているわけだが、談合によって修繕価格が高くなれば、先々の資金が足らなくなり、さらに高い積立金の負担が必要になる。つまり、工事業者らの談合によって入居者が損害を負うことになるのだ。 「これを見て下さい」と須藤社長が一枚の紙を広げた。そこにはあるマンションの修繕工事で、管理組合が工事会社5社から見積もりを取った結果が記載されていた。 <1億4900万円、1億5200万円、1億5200万円、1億56