ブックマーク / www.pressa.jp (13)

  • 親密でとても心地のよい食卓。「イタリア料理の本」に安らぐ

    アノニマ・スタジオという出版社が蔵前にある。ライフスタイルに関するものや絵を中心に刊行している小さな会社で、わたしはここのがとても好きだ。高山なおみさんの料理、世界のさまざまなレシピ。 そういう作品のひとつに、「イタリア料理」というなんともシンプルなタイトルのがある。箔押しされたシンプルで上品なブックデザイン。そしてページを開いてみると、非常に驚かされる。ページいっぱいに印刷された写真は、どれも薄暗い。ぼんやりとしていて、鮮やかな原色などほとんど出てこない。 だからといって美味しそうじゃないかと言うと、全然そんなことはない。何というか、こういうイメージだ。南欧の強すぎる太陽の光、きらきら光る地中海の水面。そんな光景を見ながら訪ねていった先は、親しみやすい地元のおばさんが経営している堂。中に入ると強い光は遮断されていて、ひんやりとしたやさしい薄暗がりが身体にやさしい。その

    親密でとても心地のよい食卓。「イタリア料理の本」に安らぐ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2015/11/15
    見た目ではない、味なのだ。
  • 地道にコツコツと仕事に向かい、そして悩む。25歳の「ワーキングピュア」たち

    25歳の若者たちは仕事に対してどんな意識を持ち、どんな環境で働いているのだろうか? そういう調査が連合(日労働組合総連合会)などによっておこなわれ、その内容をとても読みやすくまとめた『ワーキングピュア白書 地道にマジメに働く25歳世代』(プロジェクト25実行委員会、日経BP)を読んだ。 「はじめに」に、こうある。 25歳世代への取材を通じて見えてきたのは、彼ら、彼女らが、どのような環境にあっても、コツコツとまじめに働き、地道に生きようと努力しているという事実だった。 だれも皆、純粋にそして前向きに仕事と向き合おうとしている。 「ワーキングピュア」ということばは、そういう彼らの姿勢から名づけたそうだ。わたし自身が若い世代とつきあっている経験からも、当にそうだと思う。 いまの時代に、自分にとって的確なロールモデルを探すというのはとても難しいだろうなと思う。たとえば、終身雇用が当たり前の時

    地道にコツコツと仕事に向かい、そして悩む。25歳の「ワーキングピュア」たち
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2015/10/29
    みんな将来に不安を感じているが、かといってその不安をどう乗り越えればいいのかという明快な回答はない。
  • 週末に読む:非英語の世界がやってくる?『ITビジネスの原理』

    マッキンゼーからリクルート、グーグルまでさまざまな企業を渡り歩いている現楽天執行役員、尾原和啓さんのKindle版も出ています。ITビジネスとはいったいどのようなものなのかということを、根っ子の部分からわかりやすく解説しており、初心者にもわかりやすく理解できそうな。 ......そういう感じで冒頭から読み進めて、たしかにとてもわかりやすい内容だったのですが、しかし書はそのレベルで終わるではありませんでした。第四章の「消費されるコミュニケーション」から、最終章「ITの目指すもの、向かう場所」にいたるあたりは、ものすごく刺激的! たとえばこんな文章がさらりと書かれています。 私はインターネットというのは、ハイコンテクストなものとハイコンテクストなものをダイレクトに結びつけることができるものだと考えています。来そういう性格を持っていたものなのだけれど、それは不幸なことに、ローコンテク

    週末に読む:非英語の世界がやってくる?『ITビジネスの原理』
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/03/29
    非言語コミュニケーションはより自然で普段着なかたちへ。
  • 書籍のゴーストライターというエコシステム

    出版のゴーストライターというものに誤解している人が多いようなので、ここで実状を少し書いてみます。 経営者やタレントなど、プロの書き手ではないけれども「著名な人」が出しているのたぶん9割ぐらいは、ゴーストライターが代筆したものです。ここで「代筆」ということばを使ったのでわかるように、「著者」人の考えていることや体験談を長時間のヒヤリングをもとに代わりに書いてあげるというのが、ゴーストライターの仕事です。これを「著者と言いながら実際には書いていないじゃないか。偽物だ!」と怒るのはたやすいのですが、しかしこのゴーストという仕組みは出版業界ではそれなりに意味のあるエコシステムとして発展してきました。それを説明しましょう。あらかじめ言っておくと、私はタレントの世界はまったく知らないので、ここで語るのは経営者などのビジネス書のゴースト事情です。 ゴーストライターの仕事をしているのは、たいて

    書籍のゴーストライターというエコシステム
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/03/09
    このシステムを維持したまま、きちんと情報公開しておくという仕組みを持つのがベター。
  • 週末に読む:1970年代の暴力革命がいま結実した。『ビッグの終焉』

    著者はハーバード大学のビジネススクールで教えているニコ・メレさん。2003年の米大統領選民主党予備選挙で、ハワード・ディーン陣営が普通の市民から小額の政治資金をインターネットで経由で集めるという初めての試みを行って注目を集めましたが、この試みの発案者であり、実行者だった人です。 このの「ビッグの終焉」というのは、個人と個人が瞬時にどこでもつながることのできる過激な接続(ラジカル・コネクティビティ)によって、伝統的な大組織(ビッグ)が根底から揺らいでいることを指しています。こういえば「ああまたそういうか」と思う人もいるでしょう。「スモールがビッグを破壊する」というのは10年前のロングテール理論から今日にいたるまで、たしかにあふれかえっている言説です。 しかしこのが非常に興味深いのは、この「スモールがビッグを破壊する」という事態がいったい何をもたらすのかを、善悪の両面を踏まえて論じている

    週末に読む:1970年代の暴力革命がいま結実した。『ビッグの終焉』
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/03/02
    テクノロジーを基盤とする社会の未来はバラ色でも悪夢でもなく、その中間領域にある灰色の部分にある。
  • いま求められているのは、リベラルの再構築だ。

    いま求められているのは、リベラルの再構築だ。 2014.02.02 先日もTwitterで書いたのだが、いまの日は、「専業主婦が家庭で育児するのが日の伝統的家族観」というような現実の歴史と反する勝手な史観を振り回すオレオレ保守と、反テクノロジー・反経済成長を言い募る懐古主義的な和式リベラルという極端な二つの党派が前景化しているという、非常な奇妙な状況になってしまっている。 わたしはこの両極端ではなく、その間にいる多くの中間領域の人たちが重要だと考えているし、この人たちこそが次世代の日を背負う社会的中心層になるのは間違いないとも思っている。より具体的に言えば、経済成長を是とし、そのためのテクノロジーの進化も受容し、そのうえで分配政策を構築しなおして機会平等をこれからも実現していこうというような政治思想だ。政府に何でも頼るのではなく、自分たちであらたなコミュニティのあり方を模索し、若者を

    いま求められているのは、リベラルの再構築だ。
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/02/04
    「家入的ななにかを土台にして、これからの政治のあり方を考える」というたたき台。
  • 週末に読む:歩きながら苦しむお遍路道『アルキヘンロズカン』

    四国八十八か所のお遍路めぐりを題材にした漫画Kindle版。読んでいると、とても苦しい。 八十八か所には、全行程を歩きたい人のために「遍路みち」が用意されています。田んぼのあぜ道から山道、川べりなどをつたって歩いて行くこのみちは、とても趣があってすばらしい。とはいえ全行程は1200キロぐらいもあり、歩き通すのはたいへんな、日屈指のロングトレイルです。すべてを一気に歩くのを「通し打ち」といい、だいたい40日ぐらいはかかるようです。 わたしは1999年の夏、新聞社を辞める直前に一番札所から二十二番までを1週間かけて歩いたことがあります。こういう歩き方を「区切り打ち」。いつかは残りを歩かなければなと思い、「それはふたたび人生の転機が訪れたときだ」と決めているのですが、あれから15年、幸か不幸か決定的な「転機」はとりあずまだやって来ていません。 さて、この漫画の主人公は2人。売れない漫画家の男

    週末に読む:歩きながら苦しむお遍路道『アルキヘンロズカン』
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2014/02/01
    四国八十八か所のお遍路めぐりを題材にした漫画のKindle版。
  • アルジェリア人質殺害事件とメディアスクラム

    アルジェリア人質殺害事件での被害者名の問題について、昨日もFacebookで書いた。私の意見を要約すれば、以下のようなこと。 つまり、新聞記者は『一人の人生を記録し、ともに悲しみ、ともに泣くため』などと高邁な理想で被害者の実名報道の重要性を語るけれども、実際にやってるのはメディアスクラムで遺族を追いかけ回しているだけ。つまり新聞記者の側は、「理想とすべき報道理念」を語っているけれども、遺族取材を批判する人たちは「現実の報道の姿勢」を問題にしているということ。 この乖離を埋める努力をしない限り、新聞記者の理念などだれにも理解されないよ、ということを書いたのだった。 しかしこの乖離を(たぶん無意識のうちにだと思うけれども)回避させている意見が、今日にいたってもあいかわらずマスメディアの側に目立っている。 たとえばカバの人が語るイメージ先行のメディア批判とメディアの説明責任というTogetter

    アルジェリア人質殺害事件とメディアスクラム
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2013/01/25
    取材は個別に努力し、しかしメディアスクラムに関しては例外として扱わず、実はいまの新聞社やテレビ局における内在的な問題として対処する。そっちの方が正しいと思う。
  • ゆるキャラ街ネタはニュースメディアの王となるか?

    神戸で10月上旬、「みん経ナイト2012 in 神戸」というイベントがあった。私もゲストとして参加したのだけど、これが関西ノリで非常におもしろい話満載だったので紹介してみたい。 「みん経」というのは「みんなの経済新聞」のことだ。2000年に最初にスタートした「シブヤ経済新聞」をはじめ、日各地に広がっている「街ネタのニュースサイト」のネットワークだ。編集プロダクションやウェブ制作会社などが業務のかたわらやっていることもあれば、NPOに運営されているところもある。ほとんど個人メディアのようなところもある。基的にはそれぞれが独立したメディアである。 現在では国内70拠点、さらにはバンコクやニューヨークなど海外4拠点にも広がっている。ローカル情報の集積地のようなものだ。 神戸で開かれた「みん経ナイト」には、近畿圏の「みん経」編集者たちが集まった。大阪にある3つの「みん経」(梅田、あべの、なんば

    ゆるキャラ街ネタはニュースメディアの王となるか?
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/11/06
    インターネットの未来は、ソーシャルとローカルとモバイルだ。
  • 絶望しかない過酷な現実を、映画は救わない

    超話題になっている園子温監督の最新作『希望の国』を試写で観た。テーマは福島第一原発事故だ。 この映画を「反原発の映画」と見る人もいるだろう。あるいは媒体資料では「社会派エンタテインメントの傑作が誕生」などと書いてある。でも私はどちらの表現もピンと来なかった。この映画は実に終末的な暗示に満ちていて、もっとも適したことばを探すとすれば、黙示録だ。作は、救いのない日の黙示録である。 設定は、東日大震災から数年後の「長島県」。ここで再び大地震が起き、原発が破壊され、メルトダウンする。福島をモチーフにしたのが明白な設定だ。 お話は、三組のカップルを中心にして展開していく。まず夏八木勲と大谷直子の老夫婦。原発から半径20キロの強制避難区域のすぐ外側にある家で、事故後もひっそりと暮らしている。大谷直子は認知症をわずらっていて記憶が混乱しているが、平穏な生活だ。 二つ目のカップルは、老夫婦の息子(村

    絶望しかない過酷な現実を、映画は救わない
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/10/09
    この黙示録みたいな作品は、きっと何十年か何百年か先にまで、2011年に私たちが抱いた感覚を届けていく。
  • 日本の電機メーカーがプラットフォーム化していく道とは

    『挑む力』というを読んだ。富士通の手がけているさまざまな事業を、NHKの人気番組だった『プロジェクトX』風に描いたノンフィクションだ。この、読み物としてたいへん面白い。 8つのプロジェクトが紹介されている。民主党の蓮舫衆院議員の「2位じゃダメなんでしょうか」発言で有名になった世界最速スパコン「京」や東証の株式売買システム「アローヘッド」、ハワイのマウナケア山頂に設置された「すばる望遠鏡」といった有名なプロジェクト。さらにはスマートフォンやクラウドなどのITを使った農業支援や被災地復興支援、ブラジルで広く採用された手のひら静脈認証といったかなり地味な事業までもが並んでいる。 たとえばすばる望遠鏡はこんな物語だ。 子供のころ「宇宙戦艦ヤマト」が好きで、将来はNASA(米航空宇宙局)のエンジニアになりたいと思っていた社員。親には「何を夢みたいなことを」と言われたが、富士通がハワイの火山に天文

    日本の電機メーカーがプラットフォーム化していく道とは
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/09/19
    日本の電機メーカーも、その最終消費財をシンボリックに指示してきた日本人も、そろそろマインドセットを変えるべき時期に来ているということ。
  • blog - なぜフリージャーナリストは震災後に劣化したのか?

    2000年代半ばごろまでは、ノンフィクションの書き手が仕事を覚え、ステップを上がっていくという仕組みが雑誌業界の中にあった。正社員として新聞社やテレビ局、大手出版社などに在籍していなくても、20代の右も左もわからないフリーランスであってもプロのライターとして独りだちしていくスキームがあったのだ。 典型的なパターンとしては、週刊誌の契約記者から論壇誌での単独記事執筆へという流れがある。この週刊誌の契約記者というのは、ジャーナリズム志望者の入り口としては恰好の職場で、仕事はきつくて汚いものの、取材仕事を覚えられるし、そこそこの収入も確保できた。たとえば大手総合週刊誌の契約記者なら、仕事を選ばなければ月額30〜40万円ぐらい稼ぐことは十分に可能だった。 大手出版社の場合、社員編集者はたいていは3つの分野に分かれている。「文芸」「報道」「マンガ」だ。文芸は小説。報道は週刊誌や論壇誌、それに新書とノ

    blog - なぜフリージャーナリストは震災後に劣化したのか?
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/08/03
    「読者ニーズ」というのは、正しいニーズではない。
  • いま求められているネットメディアについてホリエモンと話した

    ※以下は7月9日(月曜日)配信のメールマガジン「未来地図レポート」201号から、特集記事のうちの1を全文転載したものです。メルマガは今月、通算200号を達成しました。サイトのmail magazineからお申し込みいただけます。なお7/9号のもう1の特集記事は「2ちゃんねる元管理人のひろゆきは逮捕されるのか?〜警視庁の捜査状況、その極秘情報について」。 インターネットはすべてを可視化する、と私は言い続けてきた。だが同時にいまのネットメディアの状況は、濃い霧の中をさまよっているような状況にもなっている。ネットメディアのマネタイズは困難で、個人ブログやツイッター、メルマガなどの圏域拡大によって苦境に立たされている商用ネットメディアは少なくない。 今後の課題は、このような状況を突破できるネットメディアが出現してくるだろうか?ということだ。そしてもしそのような可能性がまだあるのだとすれば、そ

    いま求められているネットメディアについてホリエモンと話した
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2012/07/11
    言論が流れてくる場、そこに集まってきた情報をプッシュで出していく場。
  • 1