なぜ人々がAKBに魅了されるのか?宇野常寛が、AKB生みの親である秋元康との対談後に、その魅力の本質を探る。 文:宇野常寛 「サイコロの目が出るのを待って、それを見てから考える」……対談中、秋元氏が何度か用いた比喩だ。「運命」というものを信じている人の言葉だ、そう僕は思った。 しばしばAKB48は少女たちに過酷な選択を迫る残酷なシステムだと非難される。もちろん、その通りだ。現実の世界がそうであるように、AKB48もまたときに残酷な選択や決断を迫る。だからこそ彼女たちも「マジ」に戦うことができるし、僕たちも「マジ」で「推」すことができる。彼女たちをときに襲う残酷さは、そのフェアさとオープンさの証明でもある。フェアでオープンなゲームを自己責任で戦うからこそ「マジ」が生まれる。 その意味においてはAKB48は現実のこの社会よりもフェアでオープンだと言える(いや、この表現は不正確だろう。そもそ