雷放電研究は、地球の大気科学研究においても、決してメジャーとはいえない分野です。積乱雲は近年"ゲリラ豪雨"というセンセーショナルな命名も手伝ってか、多くの人の興味の対象となりつつありますが、その中で起こる雷放電や大気電流に関しては、必ずしも研究の重要性が広く認識されているわけではありません。それにもかかわらず、金星の気象観測衛星とも呼べる「あかつき」には、雷放電発光を観測することを目的の一つとしたセンサー、雷・大気光カメラ(Lightning and Airglow Camera:LAC)が搭載されているのはなぜでしょうか? 30年にも及ぶ金星雷論争 金星に雷放電があるかないかについては、実は30年にも及ぶ大論争が繰り広げられています。雷があるかないかなんて、もし人がその場にいて発光を見たり音を聞いたりすることができたら簡単に分かりそうですよね。ところが、探査機に積んだ観測機器のデータから