127年前の1889(明治22)年夏、熊本県内を5日間隔で2度の大地震が襲い、5カ月後も余震が収まらなかった−−。1日から「くまもと文学・歴史館」(熊本市中央区)に展示中の県の記録には「翌年1月に入っても、なお日ごとに数回の地震があったことを記憶しておくべきだ(現代文訳)」と記されている。今回の熊本地震はその記憶の継承に失敗したことを浮き彫りにした。【福岡賢正】 記録は90年に県内務部第一課が編集した「明治廿二(にじゅうに)年熊本縣大震始末(くまもとけんだいしんしまつ)」。表紙も含めて2冊で計約790ページあり、県立図書館が所蔵している。89年の地震は、当時の飽田郡(現・熊本市)を中心に死者20人、家屋の全壊238棟、半壊236棟の被害をもたらし、熊本城の石垣も大崩壊。最大だった7月28日に起きた1回目の地震のマグニチュード(M)は6.3と推定されている…