戦争が終わって一週間がたった。今やっと、こうして故郷に帰ってきた。この街はまだ、被害が少なかったようだ。私の家も無事だった。 「ただいま。」 期待を込めてそう言った。… だが、返事は聞こえない。仕方なく、上がって、部屋を探しまわった。いずれも空だった。 最後の部屋、無我夢中だった僕は、ここでフト冷静になった。 バッ! そこで見たのは、赤い血。 … 元をたどると、生魚をむさぼり食うネコがいた。すると、とっさに逃げるので、追いかけた。 追っかけて、追っかけて、 ネコも私も疲れてきた。 「すみません。」 と声が聞こえたので、あたりを見まわすと、どうやら、そのネコが話しているようだった。 「そんなバカな」とも思ったが、確かに、そうだった。 「…だって、カギが開いてたから…。」 という彼の言葉に、私は、 「ああ! だからね!!」と、 つい、言ってしまった。