二酸化炭素(CO2)を出さない究極のクリーンエネルギーといわれる水素を、農業や調理といった身近な場で使う試みが進んでいる。地球温暖化を防ぐ低炭素をめざす取り組みから、水素社会の実現に向けたカギを探った。 北海道帯広市の中心部から北に車で約40分走ると、大雪山のふもとに位置する鹿追町(しかおいちょう)に入る。牧場と畑が広がる北の大地に今年1月、「しかおい水素ファーム」がオープンした。 鹿追町は人口約5500人に対し、牛は約3万頭と人より牛の数が多い。毎日大量にでる牛ふんを発酵させたバイオガスからメタンガスを抽出し、水蒸気などに反応させることで水素をつくりだしている。 水素はタンクに貯蔵しておき、ボンベに詰めて併設された水素ステーションで燃料電池車や酪農家、観光施設などに供給する。近くの農協では、燃料電池で動くフォークリフトが走り回り、キャベツ満載のパレットを運んでいた。排ガスにさらされずに出