ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (53)

  • 書評 「なぜ今、仏教なのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ今、仏教なのか 瞑想・マインドフルネス・悟りの科学 (早川書房) 作者: ロバートライト出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/07/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書はサイエンスライターのロバート・ライトによる西洋仏教(そのうちの上部座仏教の流れをくむヴィッパッサーという瞑想流派)のマインドフル瞑想の解説及び体験談を一冊のにしたものだ. ライトは1994年に「モラル・アニマル」を出して当時勃興したばかりの進化心理学を(おそらく世界で初めて)一般向けに紹介したことで知られる.ライトはその後「ノン・ゼロ」でノンゼロサムゲームの協力解への探索を人類の歴史に絡めたを書き,さらに「宗教の進化」で各一神教の歴史を進化的視点から語ったを書いている.この2冊はいずれも最後はぐずぐずの宗教擁護の議論が置かれた怪しいものになってしまっているが,途中までは大変面白

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  •  「我々はなぜ我々だけなのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス) 作者: 川端裕人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/12/22メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は講談社ブルーバックスの1冊で,作家兼ノンフィクションライターの川端裕人が,人類学者の海部陽介の全面協力(発掘現場同行,インタビューなど)を受けて書き下ろしたアジアの人類進化についてのになる. 「はじめに」で,書執筆に至った経緯が書かれている.2013年のナショジオのウェブサイト連載「『研究室』に行ってみた」で海部陽介にインタビューする機会があり,そこで人類進化学の最近の展開に心奪われ,取材を開始する.そして現在人類の歴史についての知見がどんどん広がり,見せてくれる景色がずいぶん変わっていることを知る.その結果(海部の研究エリアでもある)アジアの人類進化を中心に

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  •  EVOLINGUISTICS 2018「言語とコミュニケーションの進化」参加日誌 その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    8月3日 キーノートレクチャー2 東京大学駒場キャンパス 21KOMACEE East 言語進化に関する連続講演会企画「EVOLINGUISTICS 2018」. 8/2の文京学院大学ふじみ野キャンパス(埼玉県ふじみ野市)の講演(脳の形態や道具との関連についてのもの)と東京学芸大(小金井市)の講演(社会的理解と向社会的行動の初期発達に関するもの)は都合がつかなかったが,8/3の駒場のキーノートレクチャーには参加できた.講演者は言語学者側からのキーノート講演者であるセドリック・ブックス.言語学者側のキーノートということで岡ノ谷ではなく藤田耕司からの紹介を受けて登壇.ちょっとしたジョークから話を始めた. ロジカルからバイオロジカルへ(From the Logical to the Biological) セドリック・ブックス(Cedric Boeckx) 今日の外はとても暑い(当日の東京の最高

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  •  「統計思考の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計思考の世界 ?曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎 作者: 三中信宏出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2018/05/18メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は三中信宏による「思考の体系学」「系統体系学の世界」と併せて単系統群トリロジーを構成する統計思考にかかる一冊.三中は様々な場所でリサーチャー向けに統計学の講義を担当しており,その際にカリキュラムとして話してきた内容が整理されたいわば「講義録」になる. 後の2冊が春秋社,勁草書房といういかにも文系向けの出版社から,「縦書き物理のみ」という数字アルファベット数式混じりの文章を扱う上で全くユーザーフレンドリーでない形式で出版されたのに対して,書は技術評論社から「横書き電子版同時出版」というスマートでユーザーフレンドリーな形式で出版されておりうれしい限りだ. プロローグ 冒頭ではいきなり,昨今では「

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    agrisearch
    agrisearch 2018/06/10
    三中信宏氏の新著。
  •  「系統体系学の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    系統体系学の世界: 生物学の哲学とたどった道のり (けいそうブックス) 作者: 三中信宏出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2018/04/24メディア: 単行この商品を含むブログ (16件) を見る 書は三中信宏による「思考の体系学」に続く単系統群トリロジー第2弾に当たり,分類学(taxonomy)と系統学(phylogenetics)を含む体系学(systematics)とはどのような知的営みであるのかをそのパターン(学説史)とプロセス(科学哲学)から深く解説する一冊.当初上下2巻で構想されていたものが1巻に収まっており,内容が凝縮された濃厚なになっている. プロローグ プロローグは10年前にある雑誌に書いた三中の自分史から始まっている.宇治で少年期を過ごし昆虫や古銭を蒐集していた著者は高校大学時代になるとや論文を読みながらマルジナリアを書き込むことに喜びを見いだすようになる

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    agrisearch 2018/06/03
    三中信宏氏の新著。
  •  「したがるオスと嫌がるメスの生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界 (集英社新書) 作者: 宮竹貴久出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/03/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書は昆虫学者宮竹による性的コンフリクトを扱った一冊.序章にあたる「はじめに」がかなり率直で楽しい.まず虫にも個性があることが強調され,そして昆虫の交尾行動を研究し続けてきた著者による「虫のオスにとってのモテの極意」が述べられている.それはまず「アクティブ&マメであること」だが,さらに重要なのは「アクティブになるタイミング」なのだそうだ.そして最後に著者の学者としての心意気も書かれている.現在岡山大学の教授である著者は数年前に管理職となる.そして「これを続けていくと,管理職手当は増え,定年退職後には新たな就職先も準備され,困らない老後を過ごせる」のだが,やってみるとそれは苦痛

  •  「すごい進化」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く (中公新書) 作者: 鈴木紀之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/05/19メディア: 新書この商品を含むブログ (8件) を見る 書は若手昆虫学者鈴木紀之の手になる進化生態の一般向けのだ.新書であることや「すごい進化」というややベタな書名から,お手軽面白進化現象紹介かと思っていたら,実は理論にも踏み込み,かなり力のこもった面白いだ. 書はいきなりカラー口絵から工夫がこらされている.最初はスジグロカバマダラ,カバマダラ,スジグロヒョウモンの写真が掲載され,いかにものベイツ擬態の紹介かと思うと,キャプションで「・・・模様がそっくりであるわけではない.その不完全さをもたらされている理由は何か.」と不完全擬態というかなり高度な問題が取り扱われることが予告されているのだ.さらにゼフィルス類の草選択,ナミテントウの斑紋多型と

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  •  大英自然史博物館展 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    大英自然史博物館にはロンドンに行ったときに何度かサウスケンジントンまで足を伸ばして訪問したことがあるが,その美しい建物,ダーウィンとオーウェンとの直接的な縁,恐竜だけでなく魚竜のコレクションのすばらしさ,鉱物コレクションの途方もなさがいつも印象的だった. しばらくロンドンと縁がなく10年以上ご無沙汰になっていたが,今回は始祖鳥のタイプ標化石を始め貴重なコレクションの一部が上野の科博で公開されるということで見に行ってきた. 2008年のダーウィン展の時には写真撮影不可だったが,最近の科博の特別展は結構写真撮影可になっていて嬉しい限りだ.今回もフラッシュを焚かなければ撮影可ということだった.こうなると高感度撮像素子のあるいいカメラが欲しくなってくるところだ.今回はごく普通のスマホ撮影. 序章 自然界の至宝 博物館への招待 最初のコーナーは,まず美しい標をいくつか見てもらおうというイントロダ

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  •  「昆虫はすごい」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    昆虫はすごい (光文社新書) 作者: 丸山宗利出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/09/12メディア: Kindle版この商品を含むブログ (5件) を見る 書は「アリの巣をめぐる冒険」や「アリの巣生き物図鑑」などの著者で,昆虫学者の丸山宗利*1による一般向けの新書版昆虫物語である. 最初は概説. 興味深い口絵のカラー写真を提示した後,冒頭で昆虫がいかに多様な生物であるか,昆虫の基的な分類上の位置,昆虫の体制とよく間違えられる生物群(クモ,ムカデなど)との違いを解説している.面白いのはなぜ多様なのかの説明で,飛翔可能であることと変態を主な理由として挙げている.確かにこれにより様々なニッチが利用可能になっているのだろう.もっとも送粉や寄生を通じて特定の生物種と共進化しやすいことも大きな要因であるように思われるところだ. この後に簡単な進化の解説がある.ここで面白いのは,昆虫分類

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  •  「サピエンス全史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    サピエンス全史 上下合版 文明の構造と人類の幸福 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/09/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (15件) を見る 書は歴史家であるユヴァル・ノア・ハラリが,人類の進化史からバイオ技術の生みだす未来までを視野に入れて描いた,ホモ・サピエンスの歴史書ということになる.原書は欧米でも話題になっているようだ.何しろ構想が壮大だし,ジャレド・ダイアモンドが推薦しているということもあり,私も邦訳を機会に手に取ったものだ*1.原題は「Sapiens: A Brief History of Humankind」. 第1部 認知革命 第1部ではチンパンジーとの共通祖先との分岐から農業革命前までを扱う.これは文字の発明前であり通常の歴史では扱わないところで,生物学的な内容が多い.ハラリにとってもチャレンジングな

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  •  「人はなぜ格闘に魅せられるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人はなぜ格闘に魅せられるのか――大学教師がリングに上がって考える 作者: ジョナサン・ゴットシャル,松田和也出版社/メーカー: 青土社発売日: 2016/02/26メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 書は英文学博士で米国の大学の非常勤講師である著者が,総合格闘技(MMA:Mixed Martial Arts)のリングに上がることになるというはちゃめちゃでキレッキレの体験談とともに,男性心理における格闘技の位置付けを論じているだ.書にはスティーヴン・ピンカーがカバージャケットに推薦文を寄せていて,私はそれにつられて読むことにしたものだ.原題は「The Professor in the Cage: Why Men Fight and Why We Like to Watch」 著者ジョナサン・ゴットシャルは2008年に「The Rape of Troy」というホメロ

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  •  「ジャスト・ベイビー」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ジャスト・ベイビー:赤ちゃんが教えてくれる善悪の起源 作者: ポール・ブルーム,竹田円出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2015/05/13メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 書はボール・ブルームによる道徳心理学のだ.ブルームは著名な発達心理学者で,MITの院生だったときにピンカーと一緒に(当時の巨人チョムスキーに反対し)言語が適応産物であることを示した論文を発表して有名になった.その後進化的な視点を併せ持つ発達心理学者として,質主義,道徳についてリサーチしている.前著「喜びはどこまで深い」で質主義について深く論じているが,書ではもうひとつの関心事である道徳を扱っている.原題は「Just Babies: The Origins of Good and Evil」.訳書*1の副題では「赤ちゃんが教えてくれる善悪の起原」として全面的に発達心理学から道

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  •  「奴隷のしつけ方 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    奴隷のしつけ方 作者: マルクスシドニウスファルクス,ジェリートナー,橘明美出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/05/28メディア: 単行この商品を含むブログ (14件) を見る 書はケンブリッジの古典学の専門家ジェリー・トナーによるもので,古代ローマ時代の奴隷について架空のローマ人が書いた書物という体裁で著述されている.だから書の著者名はあくまでマルクス・シドニウス・ファルクスと表記されているのだ.邦題は「しつけ方」となっているが,原題は「How to Manage Your Slaves」であり,単にしつけの問題ではなくどのようにマネージするか全般が書かれている. 購入ノウハウ,活用法(どのような仕事にどう就かせるか,どう事を与えるかなど),罰し方が前半の主要部分になる.購入については当時の様々な状況の説明が面白い.逃亡癖があったり,実は自由人である場合(自由人を海

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  •  「なぜ蝶は美しいのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜ蝶は美しいのか 作者: フィリップ・ハウス出版社/メーカー: エクスナレッジ発売日: 2015/05/29メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 書は英国の昆虫学者によるもので,チョウの翅の模様についての考え抜かれた考察が美しい写真とともに説得的に語られている.原題は「Seeing Butterflies: New Perspectives on Colour, Patterns & Mimicry」 考えてみるとチョウの翅の模様は不思議だ.うまく背景に溶け込んでいる隠蔽色のもの,毒を持つチョウの警告色,それにベイツ型擬態,ミュラー型擬態で説明できるものは,一般的な進化生物学や行動生態学の議論の上にうまく収まる.しかしそれ以外の鮮やかな模様はどう考えたらいいのだろうか.雌雄で異なっているなら性淘汰にかかるハンディキャップ型のディスプレーの可能性もあるが,特に性差

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    agrisearch
    agrisearch 2015/08/17
    「鳥の視覚の認知心理がヒトと異なっているということは十分あり得るだろうし,それを考えに入れるとこのサテュロス型擬態の説明の多くは興味深いものだ.」
  •  東京大学 こころの多様性と適応の統合的研究機構 キックオフシンポジウム - shorebird 進化心理学中心の書評など

    東京大学には,学部,研究科,研究所,全学センターなどの組織とは別に「総長室総括委員会」を設置する「機構等」という組織が20近くある.(例えば地球観測データ統融合連携研究機構,大学発教育支援コンソーシアム推進機構などの名前が並んでいる) 今般この機構等の1つとして「こころの多様性と適応の統合的研究機構」が新たに発足する.これは総合文化研究科、医学系研究科、人文社会系研究科、教育学研究科、法学政治学研究科の緊密な連携により,思春期,青年期に焦点をある程度当てて,系統発生,進化適応,社会党の相互作用などのいろいろな面からこころの発達を調べていこうという学際的な取り組みを行うもののようだ.英名は「UTokyo Institute for Diversity & Adaptation of Human Mind」略して「UTIDAHM」(ユーティダムと読むようだ) そして6月13日にそのキックオフシ

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  •  「疫病と世界史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    疫病と世界史 上 (中公文庫 マ 10-1) 作者: ウィリアム・H.マクニール,William H. McNeill,佐々木昭夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/12/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 66回この商品を含むブログ (33件) を見る疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2) 作者: ウィリアム・H.マクニール,William H. McNeill,佐々木昭夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/12/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (25件) を見る 書は歴史家ウィリアム・マクニールによる疫病がいかに世界史に影響を与えたのかについてのだ.原書は1976年に初版が刊行されて,1985年に邦訳,その後の原書1998年版の序言が追加されて文庫版になっている.原題は「Plagues and

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  •  「現実を生きるサル 空想を語るヒト」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い 作者: トーマス・ズデンドルフ,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2014/12/10メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る 書はトーマス・ズデンドルフによるヒトと動物の間の心の違いについてのだ.ズデンドルフは,言語の身振り起源説を唱えたことで有名な認知科学者のマイケル・コーバリスの弟子筋に当たる研究者で,ヒトと大型類人猿との比較認知,比較心理,ヒトの心理の進化などを専門としている.書の中心となる主張は,「ヒトと動物の心の違い(ヒトの特異性)は,主に『再帰構造を持つシナリオ構築力』と『心を他者の心と結びつけたいという衝動』にある」というものだが,それを説得的に示すためにこれまでの関連分野のリサーチを驚くほど丁寧に総説している.原題は「The Gap: The Science of W

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  •  「視覚の認知生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    視覚の認知生態学―生物たちが見る世界 (種生物学研究) 作者: 種生物学会,牧野崇司,安元暁子出版社/メーカー: 文一総合出版発売日: 2014/11/27メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る 種生物学会は学会のシンポジウムのを文一総合出版からシリーズものとして出版しており,書もその一冊.内容的には2009年のシンポジウム「生きものの眼をとおして覗く世界:生理学が支える認知生態学の可能性」が元になっている. 第1章は視覚の基礎知識.光が電磁波であり,視覚とは地上に届く太陽からの電磁波スペクトルの中の一部分を感知しているものであること,電磁波を神経パルスに変えるのはロドプシンであり,それはオプシンとレチナールからなり,オプシンの種類により波長の感受性が異なること,ヒトには青,緑,赤に感受性の高い3種類のオプシンがあり,ヒトの色覚はその感受性の違いを「青ー黄(緑+赤)」

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  •  「進化とは何か」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化とは何か:ドーキンス博士の特別講義 作者: リチャードドーキンス,吉成真由美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/12/19メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る 書はリチャード・ドーキンスが1991年に英国のロイヤルインスティテューションが主催する子供たち向けのクリスマスレクチャーで講演した内容(全5回)が元になったものだ.レクチャーの題は「Growing Up in the Universe」*1.この講演の様子はヴィデオ化されてDVDになり,さらにYouTubeでも公開されている.あちらでも書籍化されたようだが,現在では入手困難になっているところ,新たに編集邦訳され,インタビューを加えて日語で出されたということになる. 第1章では進化が成し遂げた驚くべき産物を次々に紹介し,そしてそれがヒトの想像を遙かに超えた時間の広がりの中で起こっ

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  •  「異端の統計学ベイズ」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    異端の統計学 ベイズ 作者: シャロン・バーチュマグレイン,Sharon Bertsch McGrayne,冨永星出版社/メーカー: 草思社発売日: 2013/10/23メディア: 単行この商品を含むブログ (28件) を見る 書はベイズ統計学の学説史にかかるで,アメリカのサイエンスライターの手によるもの.原題は「The Theory That Would Not Die: How Beyes’ Rule Cracked the Enigma Code, Hunted Down Russian Submarines, and Emerged Triumphant from Two Centuries of Controversy」ということでまるでスパイ小説のようなタイトルだが,邦題はより論争史を意識したものになっている.私としてはソーバーの「科学と証拠」を読んでベイズ主義と頻度主義

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    agrisearch
    agrisearch 2014/01/27
    「とにかく限られた時間で何らかの推測を行い意思決定をしなければならないような場面」