ネアンデルタール人の脳の構造は、その社会的能力と認知能力に影響を及ぼし、ホモ・サピエンスに取って代わられる原因の1つとなった可能性のあることを明らかにした論文が、今週掲載される。 今回、慶應義塾大学理工学部機械工学科の荻原直道(おぎはら・なおみち)、名古屋大学大学院情報学研究科の田邊宏樹(たなべ・ひろき)たちの研究グループは、ネアンデルタール人の頭蓋化石4つと初期ホモ・サピエンスの頭蓋化石4つの仮想鋳型を用いて、脳のサイズを再現した上で、1185人の被験者の脳のMRIデータを用いて、平均的なヒトの脳のモデルを作成した。次に、研究グループは、このコンピューターモデルを変形させて、頭蓋内鋳型の形状と一致させ、初期ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の脳の外観と両者間の個別脳領域の差異を推測した。 その結果、初期ホモ・サピエンスの脳はネアンデルタール人の脳より大きくはなかったが、小脳が大きいなど