質問なんて重要じゃない!? 11人の半生を切り取った『「壁」を越えていく力』(講談社)著者であり、ノンフィクションライターの藤井誠二氏に聞く、インタビュー術とは。(聞き手・構成/山本菜々子) ―― 『「壁」を越えていく力』では、11人の方を取材されています。この方達に共通する部分はどこなのでしょうか。 この本は10年間のぼくの取材の集大成で、インタビューをした11人はそれぞれ、医者であったり、俳優であったり、猿回し芸人であったり、映画監督であったりと、様々な職業についています。それぞれを繋ぐような共通点はありませんが、10年間の中で惹きつけられた人たちであることは間違いありません。 こうやって一冊の本になって、11人を並べて気がついたことは、ぼくは「境界線」を走っている人に惹かれているということです。たとえば、村崎太郎さんは猿回し芸人をしながら部落出身であることをカミングアウトしていますし