近年、韓国では「新世代」と呼ばれる作家たちによるSF小説が一大ブームとなっている。その潮流を牽引しているひとりが、キム・チョヨプだ。2019年刊行のデビュー作『わたしたちが光の速さで進めないなら』は韓国内で発行部数35万部の大ベストセラーに。日本でも翌年に邦訳が刊行されると相次ぐ重版となった。 今年9月、日本では3冊目となる単著『この世界からは出ていくけれど』(早川書房)を刊行。SF小説という表現を通じて現実社会やコミュニティの在り方を問い、「決定的にわかりあえないこと」、それでも「なんとかわかりあおうとする人間同士の様」を描いてきたキム・チョヨプによる最新作は、よりそのテーマが色濃くなっていると感じる。11月、『K-BOOK フェスティバル』で来日した作家に希少な日本でのインタビューの時間をいただき、大学で化学を専攻していた彼女のバックグラウンドから近作のテーマまでじっくり話を伺った。
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