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ブックマーク / honz.jp (262)

  • 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ

    私は、1年のうち少なくとも3ヶ月は、海外で恐竜化石調査を行っている。主な調査地は、モンゴル・アラスカ・カナダ・中国、そして日である。2017年4月には、北海道むかわ町穂別から発見された日で最初の大型恐竜の全身骨格について、発表をした。全長8メートルのハドロサウルス科という恐竜で、全身の8割以上が揃っている、世紀の大発見だ。私の研究は、それだけではない。恐竜から鳥類への進化の過程についても研究をしている。爬虫類的な恐竜から、鳥型の恐竜へと進化していくそのプロセスに注目しているのだ。脳の進化、消化器官の進化、翼の進化など、「恐竜の鳥化」というものをキャリアのテーマとしている。私だけではなく、世界中の恐竜研究者の成果によって、最近では「鳥は恐竜である」ということが定着してきた。つまり、世界中の鳥類研究者は、“恐竜研究者”ということになる。 * 最初に『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』が出版され

    『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』 - HONZ
  • 現在、過去、未来……『AV女優、のち』 - HONZ

    晴れのち雨、雨のち晴れ。AV女優、のち――。AV女優の「のち」の後にはどんな言葉が似あうだろう?のちに続く言葉がポジティブなものであればいいなと、心から思う。このはタイトルが秀逸だ。「その後」ではなく「のち」。「AV女優、のち」言葉の響きがとてもいい。このタイトルに惹かれて、私はこのを手に取った。 「AV女優、のち」は、みひろ、笠木忍、麻美ゆま、愛奏(元・薫桜子)、長谷川瞳、泉麻耶、真咲南朋、7人の「元」AV女優が、現在、過去、未来について語ったである。彼女たちはみな2000年代にデビューをしている。著者曰く00年代はAV女優の意識が大きく変わった10年であり、最もパワーを持っていた10年だったそうだ。ちょうど00年代に20代だった自分も、彼女たちにはずいぶんとお世話になったものである。 みひろや、麻美ゆまはバラエティ番組に出演し、アイドルグループの恵比寿マスカッツとして活動していた

    現在、過去、未来……『AV女優、のち』 - HONZ
  • 『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状 文庫解説 by 宇野 維正 - HONZ

    『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状文庫解説 by 宇野 維正 自分も含め、音楽ジャーナリストやライターがよく用いる便利で安易な言葉の一つに「音楽シーン」という言葉がある。同時代のミュージシャンや作品の傾向だったり、音楽業界やマーケットの動向だったりを表す言葉。実際のところ、そのうちのどれを指しているのかが 曖昧な言葉で、そこを曖昧にしたまま論を先に進める際に用いられがちな言葉だ。 スティーヴン・ウィットが書で明らかにしていく「シーン」は、いわゆる「音楽シーン」のことではない。それは明確に「発売前のコンテンツをインターネットで流しているグループ」のことを意味している。その音楽作品や映画作品がそれぞれの歴史や同時代においてどのような価値があるのか、そしてその作品のどこを個人的に評価するか。そのようなアートやカルチャーの質には目を向けず、

    『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状 文庫解説 by 宇野 維正 - HONZ
  • 『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ

    「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦的なだけではない。書は痺れるくらいにエキサイティングでもある。書をそれほどエキサイティングにしているのは、以下のふたつの要素だ。 まずひとつは、痛ましくも興味深い症例と経験のストーリー。書は、アルツハイマー病、統合失調症、自閉症といったよく耳にする疾患だけでなく、コタール症候群、離人症性障害、ドッペルゲンガーといったあまり知られていない疾患や経験もとりあげている。そして、それらの症例や経験をドラマチックに紹介する筋立てがじつによく

    『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2018/02/16
    「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)
  • 『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ

    去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。SNSを中心にびっくりするくらい拡散されていたのは気づいていたが、こうして実際に売れ行きが好調だと聞くと、レビュアーとしては嬉しいばかりだ。 それはともかく、初詣や恵方巻き、平安神宮の歴史が実は長くないという事実を含め、「日の伝統」と聞いて、なんとなくモヤモヤした思いや感情を持っている人がそれなりにいることも反響を見ながら感じていた。そんなわけで、柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚家・放送作家とマルチに活躍

    『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2018/02/08
    >姓名判断は1929/昭和4年『主婦の友』の付録がきっかけで広まりました。今でいうアンアンの占い特集です。そんなことに金とか人生とかかけないで
  • 月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 - HONZ

    文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれないが、実は元銀行員。1941年生まれの瀧口義弘は子どもの頃から腕っ節は強く成績優秀。高校は進学校に進んだが、大学への進学を拒否し、地元九州の地方銀行に就職する。 運命を変えるのは一の電話だ。瀧口の親族は銀行員や公務員など堅い職業が多いが、なぜか姉がストリッパーだったことが人生を決定づける。30歳を過ぎた頃に、劇場の経理を電話一で依頼され、子を残し、1975年に上京する。もちろん、仕事への不満もあったようだが、常人には理解しがたい決断

    月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2018/01/30
    ストリップ産業の帝王 元銀行員。1941年生まれの瀧口義弘は子どもの頃から腕っ節は強く成績優秀。
  • 『ジュエリーの世界史』宝石商という商売 - HONZ

    ”宝石屋”と”宝石商” 宝石が嫌いな女性はいないが、宝石が好きな男性もほとんどいない。これが宝石商にとっては頭痛の種だ。私事になるが、私も宝石商を50年以上やっている。仕事上の、あるいは私的な友人でも、話が彼等の夫人や令嬢に及びはじめると、どうも私のひがみかもしれないが、彼等が思わず身構えるのが、ピンとくる。女房子供に宝石屋を近づけると、ろくなことがない。どうもあいつらは、わけの分からないものを、とてつもない値段で女共に売りつける連中だ、と男性諸公はかたく信じているようだ。とんでもない誤解である。 一流宝石商の言い分はこうだ。私たちは、女性がどうしても欲しいとおっしゃるものをお届けしているだけで、三拝九拝して買って下さいと申し上げているのではない、と。 事実、歴史に残る大宝石商は皆、商売人としては実に態度の大きな男ばかりだった。そのかわり、自分の職業と売る物については、買い手以上の愛着と、

    『ジュエリーの世界史』宝石商という商売 - HONZ
  • 『家族最後の日』植本一子の見えすぎる目 - HONZ

    書を読み終えたとき、自分を取り巻く世界が、ただただ愛おしく思えてならなかった。読後の深い余韻に浸りながら、ふとカレンダーに目がいった。 もしかしたらこの時点でもう、年間ベスト級の作品に出合ってしまったかもしれない。そう感じたのだ。 植一子は、荒木経惟に才能を見出され、写真家としてのキャリアをスタートさせた。荒木が「私写真」という独自の世界を築いたように、近年の植は文筆家としても才能を発揮し、「私ノンフィクション」とでも呼ぶべきジャンルを切り拓きつつある。 植の夫は、25歳近く年の離れたラッパー、ECDだ。ECDはわが国におけるヒップホップ黎明期から活動しているアーティストで、書き手としても『失点イン・ザ・パーク』のような優れた私小説を発表している。 ヒップホップ界では一目置かれる存在ではあるものの、広く一般に売れているわけではなく、現実はアルバイトをしながらつましく暮らしている。

    『家族最後の日』植本一子の見えすぎる目 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2018/01/25
    読んでみたいが、時間がない… >植本の夫は、25歳近く年の離れたラッパー、ECD 義弟にはカメラマンになる才能やセンスはなかったのだ。
  • 『男の孤独死』 死とは何か、男とは何か。 - HONZ

    著者はベストセラー『「平穏死」10の条件』などの著書をもつ医師だ。病院で1000人、在宅で1000人以上を看取った経験から、在宅で死ぬ方が「平穏死」できると訴え続けてきた。近年、増加の兆しがでてきた在宅死。実はその約半分を占めるのが、孤独死である。そして書は、さらにその約7割を占める「男の孤独死」に焦点を絞った邦初のである。 それにしても、身につまされるタイトルではないか。思い当たるフシはたくさんある。俗に、夫に先立たれたは長生きするが、に先立たれた夫は後を追うといわれる。男の一人暮らしは、栄養面や衛生面など生活の質が落ち、酒に溺れるケースもある。一人暮らしのアルコール依存症の男性は、孤独死に至りやすい典型なのだそうだ。 また、見落とされがちだが、菓子パンなどでブドウ糖依存になり、糖尿病そして認知症になって、孤独死というケースも多いという。さらに、タバコ依存にはガンや火事などのリ

    『男の孤独死』 死とは何か、男とは何か。 - HONZ
  • 『全員死刑』父も母も兄も弟も死刑確定 - HONZ

    2010年11月に刊行された『我が一家全員死刑』(コアマガジン、後にコア新書で再刊)は衝撃的な一冊であった。「人は見た目が9割」ならば確実にお近づきになったらヤバそうな4人の家族の顔写真が表紙にならんでおり、実際、見た目通りヤバかった北村実雄、真美、孝、孝紘の4人は強盗殺人の罪などに問われ、全員死刑が確定している。 書は、次男の孝紘の獄中手記を中心に構成された『我が一家全員死刑』に加筆修正し、映画化にあわせて文庫化したものである。表紙に顔写真こそ並んでいないが、読み直しても彼らの行き当たりばったりで自己中心的な犯行には怖さしか感じない。 彼らがどのような犯行に及んだのか。大牟田4人殺害事件と聞けば思い出す人もいるだろう。2004年9月18日に家族四人で共謀し、知人の高見小夜子さんを絞殺。その後に帰宅した高見さんの長男とたまたま居合わせただけのその友人を拳銃で撃つなどして殺し、3人の遺体を

    『全員死刑』父も母も兄も弟も死刑確定 - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/12/23
    大牟田4人殺害事件
  • 『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く - HONZ

    その男は酒もタバコもしない。ギャンブルに手を出すこともない。刺激物はコーヒーすら飲まないのだ。キリスト教の教会に通い、積極的思考(ポジティブシンキング)を実践することで世界一の大国アメリカで人もうらやむ成功を手にした。この禁欲的に思える男の名前は、ドナルド・トランプ。そう、現アメリカ大統領のトランプには奇妙な信心深さがある。 テレビから伝わるトランプのイメージは、禁欲や信心深さという言葉からは対極にある。政敵を口汚く罵り、派手な女性遍歴を誇るトランプに、どのように禁欲的な性質が内在するのか。遠く日から眺めていると、その存在は矛盾だらけの奇妙なものに思えてくる。しかし、『反知性主義』でトランプ現象を予測したとも言われた著者の森あんりは以下のように、トランプの存在は特異なものではないと説く。 トランプの奇妙な信心深さは、アメリカ的なキリスト教の文脈ではけっして特殊な例ではないということです

    『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く - HONZ
  • 『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!? - HONZ

    「一般企業もマフィアもやっていることは同じですよ」 もしあなたが真面目なサラリーマンで、誰かに面と向かってこんなことを言われたとしたら、どんな反応を示すだろうか。おそらく内心ムッとするはずだ。そして「とんでもない! 反社会的集団と企業を一緒にしないでください」とかなんとか反論のひとつも付け加えながら、納得のいかない表情を浮かべるのではないだろうか。 だが書を読んだ後でも同じような認識でいられるかはおおいに疑問だ。もしかしたら笑顔で「ですよねー」と同意すらしているかもしれない。なにしろ書によれば、斯界にその名を轟かす麻薬王は、誰もがみな名経営者だというのだから。 『エコノミスト』誌でエディターを務める著者は、ラテンアメリカで麻薬関連の取材をするうちに、麻薬ビジネスのあり方がグローバル企業のそれと酷似していることに気づく。実際、麻薬ビジネスの規模はグローバル級で、書によれば麻薬ビジネス全

    『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!? - HONZ
  • 『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた - HONZ

    今年もたくさんの新しいと出会い、様々な刺激をもらってきた。だが今年読んだの中で、最も印象に残ったものを挙げよと言われれば、それは「再会」した一冊になる。それが書『消された一家 北九州・連続監禁殺人事件』だ。 事件の詳細に関する記述はあまりにも凄惨で、このが置いてある棚の一角は邪気が漂っているように感じるほどである。数年前に奥の方へと封印したはずのこのを再び手に取ったのは、偶然目にしたドキュメンタリー番組がきっかけであった。 北九州・連続監禁殺人事件はきわめて複雑な事件であるものの、松永太という天才殺人鬼が全ての元凶である。内縁のとされる緒方純子は、加害者でもあり被害者でもあった。松永は緒方の家族ら7人を同じ部屋に監禁し、事の制限、睡眠の制限、排泄の制限、そして通電による制裁を加えた。その後一家は、家族ら自身の手によって次々と殺害。しかも遺体はバラバラに解体され、人知れず捨て

    『消された一家』北九州・連続監禁殺人事件の発覚から15年、やるせなさと救いが同時にやってきた - HONZ
  • 『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

    「ありそうもないこと、稀有なこと、不可思議なこと、奇跡的なこと」。生物地理学者のギャレス・ネルソンはかつてそんな言葉でそれを嘲笑したという。だが実際には、どうやらそれは生物の歴史において何度も生じていたようだ。それというのは、生物たちによる長距離に及ぶ「海越え」である。 書が挑んでいる問題は、世界における生物の不連続分布である。世界地図と各地に生息する生物を思い浮かべてほしい。大西洋を挟んで、サルはアフリカ大陸にも、南アメリカ大陸にも生息している。また、「走鳥類」と呼ばれる飛べない鳥たちは、南半球の4つの隔たった地域に分布している。さらに、ガータースネークはメキシコ土で見られるが、そこから海で隔てられたバハカリフォルニア半島の南部にも生息している。 そのように、系統的に近しい多くの生物が、海などの障壁で隔てられた、遠く離れた地域に生息している。しかしそうだとしたら、彼らはいったいどうや

    『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ
  • 『人間をお休みしてヤギになってみた結果 』ヒトは悩むことから解放されるのか? - HONZ

    ゴルフのラウンドをする度に痛感するのが、脱力することの難しさである。ただ脱力すれば良いということであれば話は簡単だ。しかし少しでも遠くへ飛ばしたいという欲望を充足させながら、力を抜いていくという行為は案外難しい。 その点、ゼロからトースターを作ったことでも知られる書の著書トーマス・トウェイツは、明確な目標へ向かいながら全力で脱力するということに関して、稀有な能力を持っている人物だ。 今回彼が挑戦するのは、人間をお休みしてヤギになるということ。ちなみに書は、文庫版で全271ページである。そのうち実際ヤギになって暮らすパートは、最後の55ページほど。全体の約80%の分量が、人間を休むとはどういうことか、ヤギになるとはどういうことかを考察しながらの、準備段階に割かれている。 これだけ事前準備に精力を注いでいれば、スタートする頃には疲労感も手伝って、おのずと脱力されることだろう。いわゆるパワー

    『人間をお休みしてヤギになってみた結果 』ヒトは悩むことから解放されるのか? - HONZ
  • 『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』 - HONZ

    書は2016年9月に発表された、ジャーナリストのダン・アッカーマンによるノンフィクションThe Tetris Effect: The Game that Hypnotized the World(テトリス効果――世界を惑わせたゲーム)の邦訳である。「Hypnotize」は「魅了する」という意味もあるが、「催眠術をかける、洗脳する」という意味の言葉であり、世界的に大ヒットしたゲームを形容する表現としては、少々違和感を覚えるかもしれない。たとえばパックマンやドンキーコングを「世界を惑わせたゲーム」と表現したら、ファンからの納得は得られないだろう。これらのゲームが流行した当時、子供たちが勉強しなくて困った、という親世代の人々ならば話は別だが。 しかし書を読んだ後であれば、テトリスはまぎれもなく「世界を惑わせたゲーム」であると首肯してもらえるのではないだろうか。4つの正方形で構成されたピースが

    『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』 - HONZ
  • 脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - HONZ

    我々は”現実”をありのまま受け取っているわけではない。いったん視覚情報や触覚情報といった身体表面から情報を受け取り、それを脳で解釈することによってはじめて”人間用に最適化された、人間用の世界”を構築する。我々はある種のフィクションの世界を生きているわけだ。 と、大層な語りだしではじめたけれども、書はそうした現実の解釈機関である脳についての一冊だ。著者のデイヴィッド・イーグルマンは日でも『あなたの知らない脳──意識は傍観者である』で知られる神経科学者で、巧みな文章で脳科学の世界を紹介する伝達者である。書は著者が監修・出演した(世界で人気なのだ)BBCのテレビ番組の書籍版であり、「人はどうやって決断を下すのか」、「人はどうやって現実を認識するのか」など縦横無尽に語ってみせる。 書だけで脳科学が全てわかるわけではないが(そんな事はどんなでも無理だ)、分野の動向を概観し、入り口とするため

    脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - HONZ
  • 『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか? - HONZ

    子どもの頃、両親の棚からこっそり取り出して読んだにはどうもいい思い出がありません。いい思い出どころかその後の悪夢に繋がったの代表格が『悪魔の飽』と『ノストラダムスの大予言』。 『ノストラダムスの大予言』については、200万部を突破する大ベストセラーであり、社会現象をも巻き起こし色々な方面に影響を及ぼしたと言われています。私の身の回りにも「どうせ1999年で世界は終わっちゃうから」って言って宿題やってこなかった人が何人も…みんな今どんな大人になっているんだろう。 これに限らずとも、小中学時代はオカルトが身近なところにありました。休み時間にコックリさんをやってみたり、テレビで見た川口浩探検隊の活躍にツッコミを入れたり、世界の七不思議について考えたり、ユリ・ゲラーの真似して曲げられた給のスプーンも数知れず…。 ここのところ、そんな苦いような酸っぱいような甘いような幼い頃の感動と興奮を思

    『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか? - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/09/21
    。『ノストラダムスの大予言』の発売が1973年、その頃10代~20代くらいだった世代です。
  • 『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った! - HONZ

    男の料理の王様といえばカレーだ。市販のルーで簡単に作るところから始まり、ニンニクやショウガ、チョコレートやコーヒーを入れ始め、果てはスパイスの調合に凝り始める。 病膏肓に入ってしまった男がいる。“東京カリ~番長”というカレーの出張料理ユニットの料理主任で研究家として何冊もを上梓している水野仁輔だ。彼は日で普通にべられているカレーのルーツを知りたいという欲求を抑えることはできなかった。 カレーは約150年前にイギリスから渡ってきたと言われている。水野はそれを「黒船カレー」と名付けた。明治時才のレシピも残っている。洋の一品として、あるいはイギリスから教わった料理として日に定着したようだが、詳細はわかっていない。 当時のカレーの味が知りたい。今のように玉ねぎをアメ色に炒めたのは誰だったか、という謎を解くため、カレー行脚の旅に出る。 日には「元祖」カレーは残っていないのか。イギリス海を

    『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った! - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/09/18
    結末かいてない!読みたくなるレビューだ
  • 社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ

    『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若者を指す。(ケンブリッジ英語辞典)」、「たとえ高価であっても、その趣味が低俗であるとされる若い労働者階級(コービルド英語辞典)」などとある。 さんざんな物言いである。しかし、これらの定義を全部あわせても、チャヴという言葉を正しく理解するには足りないようだ。そこには「公営住宅に住んで暴力的」、「中流階級の謙虚さや上品さがなく、悪趣味で品のないことにばかり金を使う浪費家」、さらには、「暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存」とい

    社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ
    akihiko810
    akihiko810 2017/09/15
    >ヤンキーとニートと負け組中年あたりを、一言で被差別カテゴリ化した言葉らしい