日本IBMとスルガ銀行のシステム開発に関わる訴訟に関して、筆者は二つの視点から大きな関心を持っている。訴訟の経緯や判決は一般マスコミでもセンセーショナルに報道されたのでここではその説明を省くが、多くの読者は顛末をご存じのことと思う。 この訴訟と判決は日本IBMだけの問題ではなく、多くのユーザー企業とベンダー双方に、非常に大きなインパクトを与えたことは事実であろう。特に74億円という賠償額の大きさや、ベンダー側の責任を重く認めた判決はベンダーにとって衝撃的であったはずだ。 筆者の視点の一つはこの事案でどのような調達プロセスが取られたのかという点である。筆者の仕事の多くはRFP作成やベンダー選定といった調達に関するコンサルティングであり、プロジェクトの失敗要因の多くは調達時に既に潜んでいると考えている。しかし、報道の多くは開発時のプロジェクトマネジメントを問題視しているものがほとんどである。ま