日本の衛星打ち上げ用ロケットは、糸川英夫博士のペンシルロケットにルーツを持つ全段固体燃料のロケットと、米国から徐々に技術を導入して国産化した大型の液体燃料ロケットの2種類がある。イプシロンは前者の最新作だ。 JAXAは、低コスト化と打ち上げ準備作業の劇的なまでの簡素化を目指してイプシロンを開発した。その道のりは決して平坦ではなかった。2006年には文部科学省が、前世代の固体ロケットM-V(ミュー・ファイブ)の開発を、予算難を理由に廃止してしまった。後継機のめどを立てないままの措置だった。イプシロンの開発は固体ロケット運用の空白をくぐり抜けて2009年から始まった。 イプシロンは、このM-Vを母体としているが、設計思想は大きく異なる。M-Vが性能第一だったのに対して、イプシロンは「ロケット打ち上げ作業を革新する」という考え方で開発されている。 ペンシルロケットから、惑星探査を担うまでに発展