著者:中条省平出版社:NHK出版装丁:ムック(116ページ)発売日:2018-05-25 ISBN-10:4142230875 ISBN-13:978-4142230877 内容紹介: 理由のない厄災に、いかに向き合うか 地中海に面した仏領アルジェリアの都市・オラン。おびただしい数の鼠の死骸が発見され、人々は熱病に冒され始める。ペストという「不条理な厄災」に見舞われた街で、人々はいかに生きてゆくのか──。ノーベル賞作家アルベール・カミュ(1913~60)の傑作小説『ペスト』を、現代的視点で読み解く。 はじめに――海と太陽、不条理と反抗の文学『ペスト』(一九四七)の作者アルベール・カミュ(一九一三~六〇)の文学には、どんなに不条理で悲惨な状況を描いても、海と太陽が救いになるような、「向日性(こうじつせい)」の魅力があります。そうした感覚は、カミュが当時フランスの植民地だったアルジェリアの、地