書評に関するamieparfumのブックマーク (82)

  • 『100分de名著 カミュ『ペスト』 2018年6月』(NHK出版) - 著者:中条省平 - 中条 省平による前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:中条省平出版社:NHK出版装丁:ムック(116ページ)発売日:2018-05-25 ISBN-10:4142230875 ISBN-13:978-4142230877 内容紹介: 理由のない厄災に、いかに向き合うか 地中海に面した仏領アルジェリアの都市・オラン。おびただしい数の鼠の死骸が発見され、人々は熱病に冒され始める。ペストという「不条理な厄災」に見舞われた街で、人々はいかに生きてゆくのか──。ノーベル賞作家アルベール・カミュ(1913~60)の傑作小説『ペスト』を、現代的視点で読み解く。 はじめに――海と太陽、不条理と反抗の文学『ペスト』(一九四七)の作者アルベール・カミュ(一九一三~六〇)の文学には、どんなに不条理で悲惨な状況を描いても、海と太陽が救いになるような、「向日性(こうじつせい)」の魅力があります。そうした感覚は、カミュが当時フランスの植民地だったアルジェリアの、地

    『100分de名著 カミュ『ペスト』 2018年6月』(NHK出版) - 著者:中条省平 - 中条 省平による前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2020/01/03
    「私たちは世界と人間の不条理にどう反抗し、どう乗り越えていくことができるのか」
  • 『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』(紀伊國屋書店) - 著者:リサ・フェルドマン・バレット 翻訳:高橋 洋 - 養老 孟司による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:リサ・フェルドマン・バレット翻訳:高橋 洋出版社:紀伊國屋書店装丁:単行(620ページ)発売日:2019-10-31 ISBN-10:4314011696 ISBN-13:978-4314011693 既存の概念見直し脳機能を考える最近の脳科学の動きを知るために、たいへん良いである。ただし著者のいう古典的な脳科学の教育がしっかり入っている人には、いささか読みにくいかもしれない。 主題は喜怒哀楽という言葉に代表される情動である。脳には主として情動を担う部位がある。たとえば大脳辺縁系。私のように古い教育を受けた者には、そういう知識がしっかりと入っている。 著者はそれをほぼ全面否定する。そもそも喜怒哀楽、情動とはどういう基準で確定されるか。顔の表情でわかる。ではそれを解析してみよう。表情は顔面筋の動きで測定可能なはずである。では怒りの場合に、どの筋肉がどのくらい動いているか、たとえば筋

    『情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論』(紀伊國屋書店) - 著者:リサ・フェルドマン・バレット 翻訳:高橋 洋 - 養老 孟司による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2020/01/01
    喜怒哀楽の感情は、脳の中で作られるのではなく、社会の中で学習するもの、と唱える。脳科学の定説を覆す一冊、だそう。
  • 『息吹』(早川書房) - 著者:テッド・チャン 翻訳:大森 望 - 冬木 糸一による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:テッド・チャン翻訳:大森 望出版社:早川書房装丁:単行(432ページ)発売日:2019-12-04 ISBN-10:4152098996 ISBN-13:978-4152098993 名作「あなたの人生の物語」を映画化し、20年に一度のSF感動作と言われた映画『メッセージ』で世界的にブレイクしたテッド・チャン。1990年のデビュー以来29年間でわずか18の短篇しか発表していないにもかかわらず、「現代SF界最高の作家」と呼ばれるチャンの、じつに17年ぶりとなる最新作品集『息吹』が刊行された。SF短篇の醍醐味がぎっしり詰まった話題作をいち早く紹介した書評家・冬木糸一氏の書評を掲載します。 今世紀最高のSF短篇集といっても過言ではない、テッド・チャン最新作ついにテッド・チャン最新短篇集『息吹』が刊行された! テッド・チャンは映画『メッセージ』の原作が含まれているSF短篇集『あなたの人生

    『息吹』(早川書房) - 著者:テッド・チャン 翻訳:大森 望 - 冬木 糸一による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/27
    「『わたしたちは誰も聖人じゃない。でも、もっといい人間になろうとすることはできる。』というセリフに代表されるような思想や価値観が全篇共通していて、難しい判断を求められ失敗した人間に優しく寄り添」
  • 『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』(ダイヤモンド社) - 著者:荻野 弘之,かおり&ゆかり - 本村 凌二による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:荻野 弘之,かおり&ゆかり出版社:ダイヤモンド社装丁:単行(ソフトカバー)(248ページ)発売日:2019-09-12 ISBN-10:447810137X ISBN-13:978-4478101377 心の自由に目を向け、心豊かに生きる二世紀の五賢帝最後の皇帝マルクス・アウレリウスは奴隷あがりの哲学者エピクテトスから最も深い影響を受けたという。ストア派の哲人皇帝の名高い『自省録』をひもとけば、皇帝が奴隷出身の哲学者のまぎれもない忠実な弟子であったことが分かる。といっても、直々に師弟であったわけではなく、師と仰ぐ貴族ルスティクスに導かれて、エピクテトスの「覚書」に親しんだのである。 奴隷身分から解放されたエピクテトスは、ローマを去ってギリシア土のニコポリスに移住し私塾で教師をしていたが、ソクラテスと同様に、とくに著作を残さなかった。彼の弟子の一人が言行録のごとき『語録』を作成し、

    『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 ――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』(ダイヤモンド社) - 著者:荻野 弘之,かおり&ゆかり - 本村 凌二による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/25
    「ストア哲学はしばしば禁欲主義として理解されている。だが、それは心身の欲望を抑えつけるのではなく、人間の心の自由に目を向け、心豊かに生きる術なのである。」
  • 『〈概念工学〉宣言! ―哲学×心理学による知のエンジニアリング―』(名古屋大学出版会) - 翻訳:戸田山 和久,唐沢 かおり - 戸田山 和久,唐沢 かおりによる内容紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    翻訳:戸田山 和久,唐沢 かおり出版社:名古屋大学出版会装丁:単行(292ページ)発売日:2019-03-15 ISBN-10:4815809410 ISBN-13:978-4815809416 近年、哲学界隈で話題になっている「概念工学(conceptual engineering)」。哲学と心理学のコラボレーションにより、この新しいリサーチプログラムの構築にチャレンジした『〈概念工学〉宣言!』が、哲学フォーラム等で取り上げられ、いま読まれています。哲学の新しいイメージ、新しい語り方である「概念工学」はなにを目指すのか。そして『〈概念工学〉宣言!』はどのように位置づけられるのか。書籍から一部抜粋してご紹介いたします。 「概念工学」とは何か書のタイトルにある「概念工学」という耳慣れない言葉は何であろうか。概念工学とは、われわれの生にとって、あるいは人類の生存にとって重要な諸概念を、より

    『〈概念工学〉宣言! ―哲学×心理学による知のエンジニアリング―』(名古屋大学出版会) - 翻訳:戸田山 和久,唐沢 かおり - 戸田山 和久,唐沢 かおりによる内容紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/23
    「人類の幸福に貢献する、哲学×心理学の新たなフレームワーク」
  • 『文庫 モンゴル最後の王女: 文化大革命を生き抜いたチンギス・ハーンの末裔』(草思社) - 著者:楊 海英,新間 聡 - 楊 海英による前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    1927年、内モンゴル・オルドスにチンギス・ハーンの血を受け継ぐ最後の王女スチンカンルが生まれた。17歳の冬、父の従者だったボロルディと結婚し、一人息子に恵まれて穏やかに暮らしていた… 1927年、内モンゴル・オルドスにチンギス・ハーンの血を受け継ぐ 最後の王女スチンカンルが生まれた。 17歳の冬、父の従者だったボロルディと結婚し、一人息子に恵まれて 穏やかに暮らしていたが、中華人民共和国建国後、その人生に暗雲が立ち込める。 スチンカンルは反革命分子のレッテルを貼られ、使役に駆り出され、 祖先を祀る聖地を開墾する屈辱に甘んじなければならなかった。 そして、あの文化大革命が始まる――。 著者の楊海英氏自身も内モンゴル・オルドスの出身。 中国で現在もなお続く苛烈な民族問題の知られざる実態を、激動を生き抜いた 女性の半生を通じて描きあげた迫真のドキュメンタリー。 『チンギス・ハーンの末裔』改題

    『文庫 モンゴル最後の王女: 文化大革命を生き抜いたチンギス・ハーンの末裔』(草思社) - 著者:楊 海英,新間 聡 - 楊 海英による前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/20
    「文化大革命によるモンゴル人の犠牲者は、およそ30万人に達すると言われている。このように多くの人々が殺害された原因が、モンゴル人たちが日本の植民地時代に、日本人と仲良くした、対日協力をしたということ…」
  • 『生命式』(河出書房新社) - 著者:村田沙耶香 - 鴻巣 友季子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:村田沙耶香出版社:河出書房新社装丁:単行(272ページ)発売日:2019-10-16 ISBN-10:4309028306 ISBN-13:978-4309028309 多数派の「ふつう教」信仰をゆるがすたとえば、「学校を卒業したら、就職して、結婚して、子どもをつくるのがふつうでしょ?」といった「ふつう」への信心を村田は一つ一つ丹念に疑い、「ふつう教」という多数派の信仰をゆるがしてきた。 『殺人出産』では、少子化対策として生殖を恐るべき方法でコントロールする国家が描かれ、『消滅世界』では、恋愛結婚、セックス、家制度、ジェンダーといった概念が次々と消滅していく近未来が描かれた。『コンビニ人間』では、「常識」の同調圧力の狂気に抵抗するため、コンビニと一体化する女性が登場し、英語をはじめ多国語に翻訳されて、世界の読者を熱狂させている。 何が正常で、何が異常なのか? こんな名言の数々があ

    『生命式』(河出書房新社) - 著者:村田沙耶香 - 鴻巣 友季子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/15
    「孵化」では、ある特性のない女が次々と仮面をかぶって人気者になり、空洞化する。空疎な“キャラ”が拡散されるウェブ社会への批評にも読める…メルヴィルの『信用詐欺師』を思わせる名作であり、作者の新境地だ。
  • 『天然知能』(講談社) - 著者:郡司ペギオ幸夫 - 中村 桂子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:郡司ペギオ幸夫出版社:講談社装丁:単行(ソフトカバー)(256ページ)発売日:2019-01-12 ISBN-10:4065145139 ISBN-13:978-4065145135 外部を招き入れて理解を実現著者の名前を見ただけで難しかろうと敬遠するのが無難とわかっていながら今回はあえて取り上げる。「天然知能」という言葉で、私が生きものの感覚として大事にしていることを論理的に考えてくれているのではないかと感じたからである(間違いでないことを願いながら)。 近年話題の人工知能の対義語としては自然知能を考えるのが通常だが、著者はそこに天然を持ち込む。世界に対する対処の仕方を身近な生きものへの向き合い方によって人工・自然・天然の三つの知能に分けるのだ。人工知能は、自分にとっての用途、評価を明確に規定し、その上で対処する。自然知能を著者は「自然科学が規定する知能」とする。私は生きものであ

    『天然知能』(講談社) - 著者:郡司ペギオ幸夫 - 中村 桂子による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/09
    ペンギンが好きで子どもの名前につけようとしたら妻にたしなめられたので、自分につけたらしい。
  • 『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社) - 著者:高橋ユキ(タカハシユキ) - 武田 砂鉄による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:高橋ユキ(タカハシユキ)出版社:晶文社装丁:単行(292ページ)発売日:2019-09-25 ISBN-10:4794971559 ISBN-13:978-4794971555 「いったい、この村はなんなのだ」――二〇一三年七月、わずか一二人が暮らす山口県の限界集落で、一晩のうちに五人が殺害される事件が発生。その集落で唯一、他の村民と交流せず、決まった時間に窓を大きく開け放って歌声を響かせていた「カラオケの男」。凶行に及んだ男は、家のガラス窓に貼り紙を残していた。 「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」。この不審なメッセージは犯行予告と捉えられていたが、真相は異なっていた。犯人は「集落の村人たちから〝村八分〟にされていたのではないか」との疑いを抱えながら、著者は現地を繰り返し訪問する。限られた人々から、無数の噂が流れ込んでくる。 そして浮上する、別の放火事件。かつて存在していたという「夜

    『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社) - 著者:高橋ユキ(タカハシユキ) - 武田 砂鉄による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/09
    「山口連続殺人放火事件を再考。起きたことを隅々まで体感し直そうとする地道な姿勢が、事件を再度揺さぶる」
  • 『快楽について』(岩波書店) - 著者:ロレンツォ・ヴァッラ 翻訳:近藤 恒一 - 出口 治明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:ロレンツォ・ヴァッラ翻訳:近藤 恒一出版社:岩波書店装丁:文庫(525ページ)発売日:2014-10-17 ISBN-10:4003369718 ISBN-13:978-4003369715 内容紹介: ロレンツオ・ヴァッラ(1405/07‐1457)はエラスムスやルター等からも高く評価されたルネサンス期の人文主義者。ストア主義者、エピクロス主義者、フランチェスコ会修道士による対話篇の形で快楽の吟味と再評価がなされる。肉体の美しさを讃美し、快楽を肯定。さらに信仰・希望・愛によって至高の快楽である視福に至ると説く。 真の善への道を論述かつて「コンスタンティヌスの寄進状」と呼ばれた世紀の偽書があった。8世紀に教皇庁によって偽造された文書で、ピピンの寄進やシャルルマーニュへの(西)ローマ皇帝戴冠(たいかん)などの根拠として広く悪用された。この文書を厳密な考証に基づき偽作と論じたのが15世紀

    『快楽について』(岩波書店) - 著者:ロレンツォ・ヴァッラ 翻訳:近藤 恒一 - 出口 治明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/08
    「ルネサンスを準備した真髄の1冊」
  • 『湖畔の愛』(新潮社) - 著者:町田 康 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:町田 康出版社:新潮社装丁:単行(252ページ)発売日:2018-03-22 ISBN-10:4104215031 ISBN-13:978-4104215034 気の遊びで、言葉に魂をこの世でいちばん大事なのは正直であることだ、と言われて否定する人はいない。だがどうだ。金持ちは力を振るい、美人は得をし、きれいごとを口にする人で世の中は満ちている。けしからんではないか。九界湖の畔(ほとり)にたたずむリゾートホテルが舞台の書で、町田康が導入するのは吉新喜劇の形式だ。 たとえば雑誌ライターの赤岩は「多様な価値観を認め合う共生社会」なんて言いながら、その実、自分の運さえ良くなればいいとばかり、隠された地元の神社を荒らそうとする。 彼女にとって言葉とは単なる道具だ。口当たりの良い言葉を吐く彼女のような人々に対抗するべく、様々な手法が駆使される。「カップル」は「カッポーレ」に横滑りし、「

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    amieparfum 2019/12/07
    「本書の笑いの奥には、言葉に魂を取り戻したい町田の思いがある。そしてそれは我々の心を強くつかむ。」
  • 『ウィステリアと三人の女たち』(新潮社) - 著者:川上 未映子 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:川上 未映子出版社:新潮社装丁:単行(177ページ)発売日:2018-03-30 ISBN-10:4103256257 ISBN-13:978-4103256250 回帰する傷ついた少女らの記憶自分がどういう人間かは自分がいちばんよく知っている。我々はふだん、そう思って生きている。けれども、その思いはいつか引き剥(は)がされてしまう。そして見知らぬ自分が顔を出す。 短編「彼女と彼女の記憶について」の主人公である女優もそうだ。田舎で開かれた同窓会に、十何年ぶりかで参加する。そして彼女は称賛を浴びるのだ。だがことはうまくは運ばない。元テニス部の女性に「いちおう女優って感じの人」とまで呼ばれてしまう。しかも黒沢こずえという、かつての親友が数年前に餓死していたことを知る。 実は主人公は小学生時代、こずえを裸にしては性的ないたずらを加えていた。だがそのときの記憶も含めて、こずえのことをすべて

    『ウィステリアと三人の女たち』(新潮社) - 著者:川上 未映子 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/07
    「読者は主人公たちとともに彼女の作品の世界を生きながら、自分の中で傷つき、うずくまっている少女を抱きしめられる。」
  • 『野蛮なアリスさん』(河出書房新社) - 著者:ファン・ジョンウン 翻訳:斎藤 真理子 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:ファン・ジョンウン翻訳:斎藤 真理子出版社:河出書房新社装丁:単行(210ページ)発売日:2018-03-23 ISBN-10:4309207405 ISBN-13:978-4309207407 消えた町、戦争と暴力の記憶女装ホームレスのアリシアが、再開発で消え去った町、コモリを言葉で蘇らせる。そこに立ち現れるのは、いないことにされてきた人々の世界だ。 子供時代、朝鮮戦争で北から逃れてきた父親は孤児になり、この町で下男として雇われると、見下されながらもなんとか金を掴(つか)もうとする。成人してようやく家を手に入れ、立ち退きのための莫大な補償金をせしめても、家族の心は通いはしない。 勉強する機会も得られないまま親に殴られて育った母親は、アリシアと弟を激しくせっかんすることでしか、自分の感情を表現できない。耐えかねた兄弟が行政に助けを求めても、家族の和が大事だと言われて追い返されるだけ

    『野蛮なアリスさん』(河出書房新社) - 著者:ファン・ジョンウン 翻訳:斎藤 真理子 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/07
    「消えた町、戦争と暴力の記憶: 女装ホームレスのアリシアが、再開発で消え去った町、コモリを言葉で蘇らせる。そこに立ち現れるのは、いないことにされてきた人々の世界だ。」
  • 『日本人の恋びと』(河出書房新社) - 著者:イサベル・アジェンデ 翻訳:木村 裕美 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:イサベル・アジェンデ翻訳:木村 裕美出版社:河出書房新社装丁:単行(ソフトカバー)(320ページ)発売日:2018-02-24 ISBN-10:4309207375 ISBN-13:978-4309207377 愚痴を言うな、人に頼るな。競争社会で勝つために、僕らはそう言われてきた。けれどもそれだけでは生きられない。人に触れ、優しさを与え合うことが必要なのだ。書はそのことを教えてくれる。 舞台はサンフランシスコの老人施設だ。東欧モルドバからの移民であるイリーナはここの職員になり、様々な老人たちに出会う。中でも惹きつけられたのは、テキスタイルのデザイナーである大金持ちのアルマだった。彼女の秘書として活動するうち、イリーナはアルマの大きな秘密を知る。 アルマは従兄のナタニエルと結婚していた。しかしそれと並行して、天才的な園芸家イチメイとの愛を半世紀以上にわたって育んでいたのだ。しかも

    『日本人の恋びと』(河出書房新社) - 著者:イサベル・アジェンデ 翻訳:木村 裕美 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/07
    「愛とユーモアでのんびり行くこと、二歩進んで一歩さがるダンス式に進んでいけばいい」
  • 『サリンジャー ――生涯91年の真実』(晶文社) - 著者:ケネス・スラウェンスキー 翻訳:田中 啓史 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    『キャッチャー・イン・ザ・ライ』によって全世界的に知られる作家となったサリンジャー。1965年に最後の作品を発表して以降、沈黙を守りつづけ、2010年に91年の生涯を閉じた。 書は死後初… 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』によって全世界的に知られる作家となったサリンジャー。1965年に最後の作品を発表して以降、沈黙を守りつづけ、2010年に91年の生涯を閉じた。 書は死後初めてとなる伝記で、『ナイン・ストーリーズ』『フラニーとゾーイー』などの代表作をはじめ、単行未収録の初期短編や未発表作品まで網羅的に紹介。同時に、ノルマンディー上陸作戦での従軍体験、ウーナ・オニールとの恋と破局、最初の結婚、出版社やマスコミとの軋轢……謎につつまれた私生活を詳らかにしていく。 膨大な資料を渉猟し、緻密な追跡調査を行い、さまざまな新事実をあきらかにしたサリンジャー評伝の決定版! 我々はサリンジャーの何を

    『サリンジャー ――生涯91年の真実』(晶文社) - 著者:ケネス・スラウェンスキー 翻訳:田中 啓史 - 都甲 幸治による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/07
    ダッハウの強制収容所を解放…「焼ける人肉のにおいは、一生かかっても鼻からはなれない」という言葉からは、ただの素晴らしい青春小説にも思える彼の作品が、どれほどの闇を抱えているかがよくわかる。
  • 『セロトニン』(河出書房新社) - 著者:ミシェル・ウエルベック 翻訳:関口 涼子 - 小川 公代による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:ミシェル・ウエルベック翻訳:関口 涼子出版社:河出書房新社装丁:単行(304ページ)発売日:2019-09-26 ISBN-10:4309207812 ISBN-13:978-4309207810 『セロトニン』の語り手はかつてフランスの農業糧省に勤めていた農業技官の中年男性フロラン=クロード・ラブルスト。過去に愛した女性たちの記憶を手繰り寄せながら々と過ごす彼は、再会した酪農家の旧友が怒れる地方住民たちと惨事を引き起こすのを目撃してしまう。なるほど〈黄色いベスト運動〉を予見したと評されるだけの小説であり、ここに描かれる政治的熱狂もまた語り尽くし甲斐があろう。しかし、評者はこの小説がなぜ読者をディテールの氾濫のなかに投げ込もうとするのかについて考えてみたい。たとえば、「キャプトンD-Lが発見されたことで、抗剤の次世代に道が開かれ」たものの性欲の減退(あるいは喪失)といった副作

    『セロトニン』(河出書房新社) - 著者:ミシェル・ウエルベック 翻訳:関口 涼子 - 小川 公代による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/05
    (元)恋人の日本人女性の描かれ方は、“レアリスム”を超えて女性蔑視の極みである。しかし、この物質性の氾濫に打ちのめされた語り手の生を、「生きる意志」のアンチテーゼとして捉えることはできないだろうか。
  • 『アジアの世紀 上:接続性の未来』(原書房) - 著者:パラグ・カンナ 翻訳:尼丁 千津子 - パラグ・カンナによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:パラグ・カンナ翻訳:尼丁 千津子出版社:原書房装丁:単行(306ページ)発売日:2019-11-21 ISBN-10:4562057068 ISBN-13:978-4562057061 内容紹介: 「世界はアジア化する」。世界の変化の最前線に身を置いてきた著者だから断言できる、壮大なスケールと圧倒的な情報量で伝える「アジアの当の力」とは。 著者来日! 世界経済フォーラムYGLに選ばれ、「21世紀におけるもっとも影響力ある75名」(『エスクァイア』誌)にも選定されたパラグ・カンナ氏。各国首脳にも注目されるカンナ氏の新刊(上下巻)ついに刊行! ベストセラー『接続性の地政学』でカンナ氏は、情報ツールや流通改革によって国境を超えたつながりが強くなり、やがてそれは「世界の総中流化」を呼ぶと説いた。これに続く書は、アジアに軸足を置いた「接続性」と世界にもたらす影響について描いている。 これ

    『アジアの世紀 上:接続性の未来』(原書房) - 著者:パラグ・カンナ 翻訳:尼丁 千津子 - パラグ・カンナによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/05
    「世界はアジア化する…世界的国際政治学者が未来予測」
  • 『大学教授のように小説を読む方法[増補新版]』(白水社) - 著者:トーマス・C・フォスター 翻訳:矢倉 尚子 - トーマス・C・フォスターによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:トーマス・C・フォスター翻訳:矢倉 尚子出版社:白水社装丁:単行(ソフトカバー)(375ページ)発売日:2019-10-25 ISBN-10:4560097305 ISBN-13:978-4560097304 いったいどうやったんだ?短編や長編小説には多くの技法が詰まっている。登場人物のタイプ、プロットのリズム、章分け、視点の制約。詩は詩でまた形式、構造、韻律、韻など、特有の技法が多数ある。戯曲もしかり。そのうえさらに、ジャンルを超えた共通の約束事がある。「春」はきわめて普遍的な題材だ。雪、闇、睡眠なども。物語でも詩でも戯曲でも、春が登場したとたんに、私たちの想像力の空には連想の星座がきらめくことになる。青春、期待、新生活、生まれたての子羊、跳びはねる子どもたち……挙げていけばきりがない。さらに連想を進めれば、これらの星座は再生、豊穣、刷新といった抽象概念までを含めるに至るだろう。

    『大学教授のように小説を読む方法[増補新版]』(白水社) - 著者:トーマス・C・フォスター 翻訳:矢倉 尚子 - トーマス・C・フォスターによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
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    amieparfum 2019/12/05
    キリスト教の象徴、性的暗喩、天気や病気の使い方…。小説の筋を楽しむだけでなく、一歩踏み込んで読み解くための27のヒント。
  • 『楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖』(青弓社) - 著者:高橋 明彦 - 栗原 裕一郎による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:高橋 明彦出版社:青弓社装丁:単行(516ページ)発売日:2015-06-25 ISBN-10:4787292285 ISBN-13:978-4787292285 内容紹介: 楳図かずおの作品に通底する恐怖・子ども・母といったモチーフを主題論・作品論・表現論・文献学を総合して読み解き、恐怖マンガの巨匠と称され、多くのマンガ家たちからの尊敬を集めながらも、一面的に批評されがちな楳図作… 特異な作家の頭の中を解明第一人者による邦初の研究書楳図かずおは戦後最大のマンガ家の一人といって差し支えないと思うが、楳図を論じて一冊とした評論、研究書はこれまでなかった。書が邦初の楳図かずお研究書ということになる。 もちろん楳図を特集した雑誌やムックならそれなりの数が出版されている。著者の高橋明彦はそれらの主要なものにも寄稿してきた楳図研究の第一人者だ。楳図研究サイト「半魚文庫」を運営する半魚さ

    『楳図かずお論: マンガ表現と想像力の恐怖』(青弓社) - 著者:高橋 明彦 - 栗原 裕一郎による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    amieparfum
    amieparfum 2019/12/04
    「戦後最大のマンガ家の一人、楳図かずおの本邦初の研究書」
  • 『スタンフォード式 人生デザイン講座』(早川書房) - 著者:ビル・バーネット,デイヴ・エヴァンス 翻訳:千葉 敏生 - 千葉 敏生による後書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:ビル・バーネット,デイヴ・エヴァンス翻訳:千葉 敏生出版社:早川書房装丁:文庫(352ページ)発売日:2019-10-05 ISBN-10:4150505462 ISBN-13:978-4150505462 就職、転職結婚、セカンドキャリア……。人生の岐路に立ったとき、決断をくだすことができなかったり、これまでの選択を後悔したりしてしまうことは必ずある。 そのとき、どう考え、どのように行動すべきかを実践的に示し、米スタンフォード大学からハーバード、MITなどの教育機関、シリコンバレーの企業へと広がっている「人生デザイン講座」。その一端をご紹介する。 世界100大学が採用する、一人一人に合った人生のデザイン術どうして人生がうまくいかないのだろう? 今の仕事をつづけるべきか? これからの人生をどう生きよう? 誰もがそんな疑問を抱えながら生きている。 書『スタンフォード式 人生デザイン

    『スタンフォード式 人生デザイン講座』(早川書房) - 著者:ビル・バーネット,デイヴ・エヴァンス 翻訳:千葉 敏生 - 千葉 敏生による後書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    amieparfum
    amieparfum 2019/12/04
    【新着】「世界100大学が採用する、一人一人に合った人生のデザイン術」