それにしてもおっさんは信号を守らん。赤信号でも車さえ向ってきていなければ渡る。どうかすると車が向ってきていても距離が十分だと思えば渡る。さらにキレたおっさんは車が来ているかどうか確認せずに渡る。おっさんの信号無視は、おばちゃんの信号無視とは違った独特の雰囲気を持っている。うちの近所はおっさんもおばちゃんもよく信号を無視するのだが、おばちゃんの信号無視の根拠は、彼女たちの想像力の貧困さ、あるいは欠如にあると思える。事故が起きるかもしれない、という想像力のことではない。自分が怪我をして、あるいは死ぬかもしれない、という想像力の問題だ。彼女たちは自分が永遠に生きるなどとは思っていないが、しかし今日や明日には死ぬはずがないと思っていて、だからかなり無謀な突っ込みを平然とやる。信号を無視するおばちゃんは車道に注意を払わない。そこに車など居るはずがないと信じている。対しておっさんの場合は、あれは自分が