作家デビュー40周年を記念して、著作85冊が一挙電子書籍化され、iBooksで登場しました。85冊を合本にした「山川健一デジタル全集Jacks」も同時発売。この全集は、幻冬舎とAppleのコラボレーションで実現しました。 批評家であり東北芸術工科大学の同僚である石川忠司がこの4月に出版したばかりの『吉田松陰 天皇の原像』の中の言葉がたった今、切っ先の鋭い刀のように光っている。近くにある研究室へ行ってぼくは言った。 「天皇の生前退位のニュース知ってるだろう? おまえの本をブログで引用したいんだけど」 「いいよ、任せる」とコーヒーをすすりながら彼は答えた。 では、その重要な言葉を引用しよう。 <吉田松陰が絶対の「忠誠」を捧げた天皇は法とも統治とも無縁であった。そこから主権国家の「神話」とは別の地平に分化し、多大な犠牲者を出した尊王攘夷運動の果てに具現化した天皇とは、もともと日本の伝統には見られ