――拉致問題の取材を始めたきっかけは。 2002年10月、拉致被害者5人が24年ぶりに日本に帰国したとの新聞記事を読んだのが始まりでした。あまりにも信じがたい話だと驚き、興味を持ちました。前年9月11日の同時多発テロ事件で米国社会から自由が失われ、気が滅入っていたこともあって、日本社会を劇的に変えた拉致事件の取材にのめり込みました。 日本の友人から「02年に北朝鮮が拉致を認めたことで日本は、米国が『9.11』に遭ったときと同じような衝撃を受けた」と聞いたが、最初は意味がわかりませんでした。そのうち、日本人も米国人と同様、安全と思い込んでいた世界が実は冷たく敵意に満ちた危険な場所と知った、ということなのだとわかってきました。 ――近著「『招待所』という名の収容所」には、帰国した拉致被害者に直接取材した貴重な証言も多く盛り込まれています。 日本語も韓国語も話せない中、我ながら無謀な取材だと思い
“Once Unthinkable, Now Possible: Senate Looks Like a Tossup in 2018” 2017年12月14日付 ニューヨーク・タイムズ紙 米国の大統領選は4年ごとだが、その間にmid-term election(中間選挙)がある。全下院議員と任期満了となる上院議員が改選される。両院とも現在は共和党が過半数を占めるため、民主党はトランプ政権の政策に待ったをかけるのが難しい。 今回の記事は、民主党がそんな状況を打開できるかもしれない今年の中間選挙を取り上げている。下院は昨年12月現在、共和党239人に対して民主党193人で逆転は難しいが、上院は数人の違いなので射程内だ。しかし去年のこの時期には、今年の中間選挙で民主党がtake back the Senate(上院の支配権を取り戻す)ことはunthinkable(想像もできない)ことだった、と
ホワイトハウスで次期FRB議長を発表した記者会見での、トランプ大統領とパウエルFRB新議長=2017年11月2日 photo : Reuters トランプ大統領がつけた「自分の印」 白亜の大理石造りの建物の中は、厳粛な空気が張り詰めていた。階段を上がると、広々とした理事会室がある。約30人が座れる長いテーブルの中央のいすからは、右の壁に米国の巨大な地図。左の壁にワシをあしらった紋章がみえる。 2月4日に65歳の誕生日を迎えるジェローム・パウエルが、前日に任期を終えるイエレンに代わって、FRB(連邦準備制度理事会)の第16代議長としてこのいすの新たな「主」になる。 「彼は幅広い民間での経験と実社会の見方をもたらしてくれる。経済成長に何が必要か理解している」。昨年11月、次期FRB議長発表の記者会見。トランプ大統領はパウエルをそう評した。身ぶり手ぶりで話すトランプと、低い声で淡々と話すパウエル
ホワイトハウスに新たな住人がやってきてはや数週間。みなさんはいかがお感じだろうか。どうも、何をしでかすかわからないお方である。今現在から、この原稿が読まれるまでの間にも、ルクセンブルク侵略やら北朝鮮との貿易協定締結やら、ひょっとするとやりかねない。 衝動的で過度に神経質、思い込みが激しく、激情の気があり、自制心は欠落、狭量で好戦的……に映るこのトランプ大統領、はたして、見るからに太りすぎである。大統領職としては建国以来初の症例だろう。日本の首相には太った人物が存在しただろうか? 人間は食べたものでできている。上記の諸症状の原因は彼の食習慣にこそ潜んでいるかもしれない。ここは一つ、ドクター・ブース※に徹底解剖させてほしい。 報道によれば、トランプはファストフードをこよなく愛している。ハンバーガーにフライドチキンにピザ。肉は赤身、特に「トランプステーキ」なる自社ブランド肉(純米国産、よって非オ
“‘Celebrating Merry Christmas again’: Trump opens new front in the culture wars” 2017年12月1日付 ワシントン・ポスト紙 私が小学生の時、学校に私以外にユダヤ教徒はほとんどいなかった。そしてクリスマスになると、公立なのに学校でクリスマスの飾り物があったり、クリスマスの歌を歌ったりなど、明らかにキリスト教関連のものがたくさんあった。その時、私はとても違和感かつ疎外感を抱いた。アメリカ建国時から大切にされてきた価値観の一つにseparation of church and state(政教分離)があるので、厳密に言えばそのようなことがあってはならない。が、実際アメリカ人の約70%はキリスト教徒なので、現実としてクリスマスを祝う雰囲気がいまだ多く存在する。 しかし近年、多様な宗教的背景を持つ移民が増え、かつ多様
ダグ・ハディックス調査報道記者・編集者協会事務局長に聞く ――メディアを取り巻く状況はどう変わりましたか。 トランプ政権はおそらく1960年代末からのニクソン政権以来、メディアに対して最も敵対的な政権です。2大政党の支持者に国が分断されるなか、メディアも党派的な存在の一つになってしまいました。昨年の大統領選では、トランプを始めとする複数の候補者が集会で記者を名指しで批判し、聴衆から喝采を得ました。今では記者が公共の場で危険な目に遭う恐れもあります。IREでは、会員の記者に身を守るための方法も伝えています。 ――どうして敵視されるようになったのでしょうか。 ここ10年ほどの間に新聞を読む人が減り、テレビやソーシャルメディアからニュースを得る人が増えました。ネット上では、誤りやニセの情報が広まりやすい。さらにテレビでは、FOXニュースを始めとして党派色が強まり、オピニオン番組とニュース番組がご
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く