明治から第2次世界大戦終戦まで、日本における地図製作は旧陸軍参謀本部・陸地測量部が行っていました。そこでは日本領土以外の地域すなわち外邦の地図も作成されており、「外邦図」とはこれをさします。旧日本領土の地図も現在は「外邦図」と呼ばれています。「外邦図」の縮尺は1/5万~1/10万程度のものが多く、その作成範囲は、北はアラスカ、東は米国本土の一部、南はオーストラリア、西はパキスタン、アフガニスタンの一部、マダガスカルに及びます。その作成方法は様々で、日本の測量隊が測量、図化したものだけでなく、他国の地図を複製したものや、密命により作成されたものもあります。 軍事目的の地図であったため、ほとんどは機密扱いとされ、敗戦直後にはその多くが処分、接収されました。一部について、研究者らの尽力により、東北大学などに運び込まれ、またさまざまな経緯を経て、現在、京都大学、お茶の水女子大学、東京大学、広島大学