2013年8月21日~23日の3日間にわたって、神奈川県のパシフィコ横浜にて開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2013」。ここでは海外における問題表現をテーマにしたセッション「異文化理解 -世界にうってでる時に知っておくべき事柄/人種、宗教、政治、セックス、暴力-」の内容をお届けしよう。 目次 さまざまな事例とその問題点を紹介 危険をはらむ各国の独立問題 性の問題はうるさいが暴力はそうでもない? 責任をもって判断を下せる体制づくりが必要 海外での展開を視野に入れたゲームを制作する際、意図せずに海外のルールやタブーを犯してしまうことがままある。特に「人種差別」や「宗教の尊厳」などは、日本ではなじみが薄いが海外では非常にデリケートな問題で、大きなトラブルになる危険性をはらんでいる。 本セッションでは、バンダイナムコスタジオ海外コンテンツ制作部の兵藤岳史氏が「人種」「宗教」「
[CEDEC 2013]「ゲームバランス」をあえて崩す「バランスブレイカー」というシステムとは? ライター:箭本進一 2013年8月22日,神奈川県のパシフィコ横浜にて開催されている「CEDEC 2013」の2日目に, モバイル&ゲームスタジオの取締役であり,「ゼビウス」や「ドルアーガの塔」を手がけたクリエイター遠藤雅伸氏を講師とした,「すごろくで体感!もう一度プレイする気にさせる『バランスブレイカー』というゲームシステム」と題されたワークショップが行われた。 モバイル&ゲームスタジオの取締役である遠藤雅伸氏 「バランスブレイカー」とはモチベーションを保つ仕組み ワークショップは多くの立ち見が出るほどの盛況 ゲームに関する議論が交わされる際,「ゲームバランス」という単語が用いられることが多い。例えば,多人数で遊ぶゲームの場合,「一方的に決着が付くことなく一進一退を繰り返す」ようなものが「ゲ
[CEDEC 2012]スクエニのサウンドチームが内製ツール群をどどんと披露。「サウンド開発はこんなに便利になりました」 ライター:榎本 涼 CEDEC 2012の2日め,スクウェア・エニックスの「サウンドグループ」に所属するサウンドプログラマー,南 明宏氏と笠原 直氏,谷山 輝氏が「サウンド開発を支えるツール群 〜こんなに便利になりました〜」と題する講演を行った。題名から想像できるように,内容はスクウェア・エニックス自社開発となるサウンドツール群の紹介である。 南 明宏氏(スクウェア・エニックス 開発部 サウンドグループ サウンドプログラマー) 笠原 直氏(スクウェア・エニックス 開発部 サウンドグループ サウンドプログラマー) 谷山 輝氏(スクウェア・エニックス 開発部 サウンドグループ サウンドプログラマー) 一般にゲーム業界のサウンド制作というものは,以下の流れで進む。 プリプロダ
声優&音響監督、両方をこなす郷田氏ならではの金言の数々 2012年8月20日~22日、パシフィコ横浜にて開催されている、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC2012”。2日目の2012年8月21日に行われた、“声優と音響監督から見たアニメーションの音響制作の現場”と題したセッションをリポートしよう。 このセッションは、声優として、そして音響監督としても活躍中の郷田ほづみ氏が、自身の経験をもとに、よりよい音響制作のためのポイントを解説するというのが趣旨だ。 郷田ほづみ氏と言えば、アニメファンならば知らぬ者はいないだろうというほどの有名声優だ。『装甲騎兵ボトムズ』の主人公キリコ・キュービィー役を筆頭に数多くの作品に出演。近年では、某芳佳ちゃんのお父さん役などでも人気を博している。 講演は、まず郷田氏の自己紹介から始まった。いやいや、存じ上げてますよ……
[CEDEC 2012]自分の“得意”と“役割”を考えてみてください――カービィやスマブラの生みの親・桜井政博氏による基調講演「あなたはなぜゲームを作るのか」 副編集長:TAITAI 国内最大のゲーム開発者向けカンファレンスCEDEC 2012が,パシフィコ横浜にて8月20日〜22日の間に開催されている。セッション数は実に209。いまや国内のみならず,世界屈指の規模のゲーム開発者カンファレンスとなったCEDECだが,その講演の開催初日,一番目の基調講演を行ったのは,「星のカービィ」や「スマッシュブラザーズ」の生みの親として知られるゲームデザイナーの桜井政博氏だ。 桜井氏といえば,上記の大人気シリーズを中心として,数々の名作を生み出してきたゲーム制作者。最近では「新・光神話 パルテナの鏡」を作り上げ,そして次回作として,「スマッシュブラザーズ」の最新作をバンダイナムコゲームスと共同で開発中で
[CEDEC 2012]PSO2の「途切れないBGM」はこうやってできている。セガが語る「BGMのプロシージャル生成」 ライター:米田 聡 プレイしたことがある人なら体験的に知っていると思うが,ファンタシースターシリーズでは,移動中や戦闘などといったシーンごとにBGMが切れ目なく切り替わるシステムを採用している。そしてそれは,最新作「ファンタシースターオンライン2」(以下,PSO2)でも変わらない。 CEDEC 2012の初日に行われた「Phantasy Star Online 2におけるプロシージャルBGMシステム」というセッションでは,PSO2に実装されるBGMシステム「SYMPATHY」(シンパシー)が「BGMのプロシージャル生成」を行っていることが語られた。本稿ではその内容をお伝えしてみよう。 シリーズ伝統の「途切れないBGM」を PSO2ではさらに強化 戦闘シーンに切り替わると,
[CEDEC 2012]ゲームにおける「遅延」とは何か。「太鼓の達人」の事例から考える,初心者にこそ知ってほしい液晶テレビの遅延問題 ライター:大陸新秩序 バンダイナムコスタジオ 第1開発本部 P&S部門 技術部 基盤開発2課 課長補佐/リードエンジニア 森口明彦氏 2012年8月20日から22日にかけ,神奈川県のパシフィコ横浜にて開催されたCEDEC 2012。その中から,開催初日の8月20日に行われたセッション「AV機器とゲームの幸せな明日」のレポートをお届けする。 本セッションでは,バンダイナムコスタジオ 第1開発本部 P&S部門 技術部 基盤開発2課 課長補佐/リードエンジニア 森口明彦氏から,家庭用液晶テレビをはじめとするAV機器を使用した場合の,ゲームの映像表示および音声再生の「遅延」の実態と,それに対する同社の取り組みなどが紹介された。 ゲーム──とくに格闘ゲームやリズムゲー
[CEDEC 2012]必要なのはルックス,一芸,性格,奥ゆかしさ。スマートフォン向けゲームにも適用できるアーケードゲーム作りの極意 ライター:箭本進一 セガ 第一研究開発本部 開発1-1部 ディレクターの平魯隆導氏 アミューズメント施設で専用のゲーム機を用いて遊ぶアーケードゲームと,携帯端末を使って遊ぶスマートフォン向けゲーム。両者はまったく違うように見えるが,プレイヤーを引きつけるテクニックには共通点が多い。セガ 第一研究開発本部 開発1-1部 ディレクターの平魯隆導氏(以下,平魯氏)は,CEDEC 2012の2日目に行われた講演「〜他分野の技術をゲーム開発に利用するには〜アーケードゲーム制作のノウハウを,スマフォ向けゲーム制作に注ぎ込むとこうなった」の冒頭でそう語った。 平魯氏は,これまでアミューズメント施設向けの体感ゲームや「機動戦士ガンダム0083カードビルダー」などのアーケード
[CEDEC 2012]プレイヤーはごまかされている? アクセスゲームズの開発者が語るAIキャラクターの実装手法 編集部:荒井陽介 開催中のCEDEC 2012で,アクセスゲームズの今井新太郎氏と片岡英樹氏による「ゲームAIはプレイヤーを虜にできるか? 〜アクションゲームにおいて、AIを使って華麗に誤魔化しつつ魅せる手法」というセッションが行われた。 タイトルから想像できるとおり,このセッションは,そこそこの出来のAIをうまく使って,高性能AIのように見せるという手法を紹介するもの。「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」や「ACECOMBAT 3D CROSS RUMBLE」など,数々のタイトルを手がけるアクセスゲームズだけに,「なるほど」と思わせるものが多かったので,その模様をレポートしよう。 今井新太郎氏 片岡英樹氏 最初に今井氏は,アクセスゲームズが考えるAIの制作や使用方針を披
「高木浩光@自宅の日記 - Tポイント曰く「あらかじめご了承ください」」というエントリーによってTポイントツールバーは「騙す気満々の誘導」であると指摘、その2日後にTポイントツールバーのダウンロードが一旦停止されたり、ほかにも「ダウンロード刑罰化で夢の選り取り見取り検挙が可能に」「ローソンと付き合うには友達を捨てる覚悟が必要」「武雄市長、会見で怒り露に「なんでこれが個人情報なんだ!」と吐き捨て」「やはり欠陥だった武雄市の個人情報保護条例」というように、次々とセキュリティに関して絶大な影響を与え続けてきた独立行政法人産業技術総合研究所の高木浩光(通称:ひろみちゅ)氏によるCEDEC2012の講演が、非常に秀逸な内容となっており、ゲームに限らず、スマートフォンまでも含めてそもそも「個人情報」とは一体何か?ということから、個人情報の現在の扱い、プライバシーに関して今後あるべき方向に至るまで、縦横
[CEDEC 2012]短期間,少人数で新規IPの背景美術を完成させたマネジメント。「GRAVITY DAZE」,“LivingBackGround”を考慮したワークフロー ライター:小倉正也 CEDEC 2012の2日目(2012年8月21日),「PlayStation Vita『GRAVITY DAZE』でのLivingBackGroundを考慮した背景ワークフロー」と題した講演が行われた。 すでに,今回のCEDECでは「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」(以下,GRAVITY DAZE)関連の講演がいくつか行われているが,ここでは同作のアートディレクター,テクニカルアーティスト,背景チーフを兼任した山口由晃氏が登壇。実際にゲーム内の背景が制作されていったワークフローを基に,背景制作の専門的な話から,ほかの職種にも応用可能な人員運用の
[CEDEC 2012]低負荷で多重反射を含む動的GIを実現可能な「Modular Radiance Transfer法」とは 編集部:aueki パシフィコ横浜で開催されているゲーム開発者のためのイベントCEDEC 2012の初日となる8月20日に,シリコンスタジオの田村尚希氏,安田 廉氏による「コンピュータ・グラフィックス関連の最新論文紹介」と題した講演が行われた。 これは同社が例年行っているもので,SIGGRAPHなどで発表された最新の論文を,ゲームで転用可能なサンプルを示しつつ紹介するという形式になっている。最新論文による技術だけに,毎年難解なテーマが取り上げられることが多いのだが,比較的平易に勘所を示しつつ実装の注意点などを示してくれるという,業界のグラフィックス技術者にとってはとてもありがたいセッションとなっている。 今回のテーマは「Modular Radiance Trans
[CEDEC 2012]“Too Japanese”だから受け入れられた「GRAVITY DAZE」の制作手法。プロデュースとシナリオから見る海外で評価される考え方 ライター:箭本進一 コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が,現在パシフィコ横浜で開催している開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテイメントデベロッパーズカンファレンス2012(CEDEC 2012)」。初日となる2012年8月20日には,日本産のゲームが海外でいかに戦うべきかをテーマとした講演「Too Japaneseなゲームって…海外で評価されないの?〜『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において,彼女の内宇宙に生じた摂動』の場合〜」が行われた。 「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において,彼女の内宇宙に生じた摂動」(以下GRAVITY DAZE)は,ソニー・コンピュー
日本のゲームを愛するが故に「日本の有名なゲームクリエイターが最新のゲームをやっているとは到底思えない」などと「日本のゲームが持つ問題点」について歯に衣着せぬ意見をバシバシ飛ばしまくる講演「僕の海外ゲーム開発ストーリー++ ~日米両方でAAAゲーム開発をして分かったこと~」が日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2011(CEDEC2011)」で行われました。 講師は、Microsoftの343 Industriesでディレクターを務めたライアン・ペイトンさん。2003年に来日し、小島プロダクションにて「メタルギアソリッド4」などの人気作に関わった後、故郷のシアトルに戻ってからMicrosoftに入社して「HALO 4」を含むHaloシリーズのクリエイティブ面のディレクションを担当した人物です。 講演は自身の半生から始まり、「ゲ
[CEDEC 2011]必要なのは「気合い」だ!? 「FFXIV」のサウンドデザイナーが語る「MMORPGのサウンドデザイン」 ライター:榎本 涼 祖堅正慶氏(スクウェア・エニックス 開発部 サウンドグループ サウンドデザイナ/コンポーザー)。スクウェア・エニックスにおいては,専門職による分業が多いとのことだが,前職の経験を活かし,効果音,作曲,収録業務,ディレクションに加え,「会議の暖め役」までこなすという,守備範囲の広いサウンドデザイナーだ CEDEC 2011の初日,9月6日に,スクウェア・エニックスによるサウンド関連のセッションが開催された。タイトルは「MMO-RPGならではのサウンドデザイン」。スピーカーは同社のサウンドデザイナー兼コンポーザーである祖堅正慶氏で,「FINAL FANTASY XIV」(PC / PlayStation 3,以下 FFXIV)を題材に,デモを交えな
本日2011年9月6日(火)より9月8日(木)までパシフィコ横浜にて開催されている、日本最大のゲーム開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2011(CEDEC2011)」の一環として「2体から4体!? ~鉄拳タッグトーナメント2における描画システムと負荷削減について~」という、2011年9月14日から全国で稼働を開始する人気格闘ゲーム最新作「鉄拳タッグトーナメント2」において使用されている描画システムと負荷削減(主に描画)について、描画プログラムのリーダーを務めたバンダイナムコゲームスの堂前嘉樹さんが講演を行ったので聴講してきました。以下に掲載する講演の全内容とスライドを読めば、現地で聴講した気分をかなりリアルに味わえるはずです。 プログラミング | CEDEC 2011 | Computer Entertaintment Developer
[CEDEC 2011]AIに命を。「ぽかぽかアイルー村」のアフォーダンス指向によるAI事例と「ARMORED CORE V」の三次元的な移動経路検索 ライター:箭本進一 CEDEC 2011で,「AIに命を吹き込むには」と題されたショートセッションが行われた。 このセッションでは,PSP用ソフト「モンハン日記 ぽかぽかアイルー村」(以下,アイルー村)と,「ARMORED CORE V」(PS3/Xbox 360)以下,ACV)のAIに,どんな工夫が凝らされているのかが解説された。 アイルー1匹当たり1500行のAI フロム・ソフトウェア制作二部,並木幸介氏 最初に登壇したのは,アイルー村のAI開発を担当したフロム・ソフトウェア制作二部のプログラマーである並木幸介氏。 本作は人気キャラクターであるアイルーが,狩りや採集などを行い,村を発展させながら仲間を増やしていくという内容のゲーム。いか
[CEDEC 2011]シリコンスタジオが紹介するゲームの未来。次世代型弾性体表現技術「Shape Matching」とは 編集部:aueki 田村尚希氏(シリコンスタジオ) 日本ゲーム業界最大の開発者イベント「CEDEC 2011」が開幕。このところ「最先端のテクニカルな内容」は減少気味のCEDECなのだが,シリコンスタジオは毎回とびきり先端方面の話題を紹介してくれており,今回の講演にも注目が集まるところだ。 本稿では,CEDEC初日に行われた田村尚希氏&安田 廉氏による「コンピュータグラフィックス関連の最新論文紹介 〜Shape Matching法とその周辺技術〜」の概要を紹介してみたい。 Shape Matchingとは 今回紹介された「Shape Matching法」とは,物体の変形に関係した技術で,弾性体の挙動を表現するものだと思っておけばいいだろう。 ポリゴンメッシュで作られた
[CEDEC 2011]初日の基調講演は,小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンについて。未踏の技術に挑む,技術者達の物語 編集部:松本隆一 小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C) 宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送工学研究系 教授 國中 均氏 日本中の注目を集めた小惑星探査機「はやぶさ」。それに搭載されているのが“イオンエンジン”であることを聞いたときは,ついに日本でもTIEファイターを飛ばせる時代がやってきたのかと個人的に感慨にふけったものだが,それはともかく,ここでは2011年9月6日,パシフィコ横浜で開催されたCEDEC 2011の基調講演「未踏宇宙を拓く『はやぶさ』探査機搭載イオンエンジン」の紹介をしたい。スピーカーは宇宙航空研究開発機構の國中 均氏で,はやぶさのプロジェクトではイオンエンジンの開発と運用を担当したという。 CEDECで,はやぶさ? と思う人もいるはずだ。筆者も
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く