再登板の安倍晋三首相にとって、憲法改正は悲願だ。6年前の第1次内閣は、改憲に向けて国民投票法や「愛国心」条項を設けた改正教育基本法を成立させたものの、病気であえなく退陣。だが現在、衆院の自民党は圧倒的多数の議席があり、アベノミクス効果で党も内閣も歴史的な高支持率だ。自民党が参院選で改憲を掲げて勝利すれば、首相が「占領時代に作られた仕組みを私たちの手で変えていく」という大願成就へ勢いづくのは間違いない。 自民党は昨年4月に「憲法改正草案」をまとめた。当時は野党で、自民党の「思い」が存分に反映された。自衛隊を「国防軍」に改め、表現の自由の制限や緊急事態での国民の義務などを盛り込み、「公の秩序」を強調。前文の「長い歴史と固有の文化」「天皇を戴く国家」「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」「和を尊び」「家族や社会全体が互いに助け合って」といった表現も、「保守」色が全開だ。 施行から66年、一言も