ロシア映画界の異才アンドレイ・ズビャギンツェフにとって4作目の長編になる『裁かれるは善人のみ』では、辺境にある海辺の町を舞台に、ロシアの現実、そして神話的な世界が切り拓かれていく。 自動車修理工場を営むコーリャは、若い後妻のリリア、先妻との間に生まれた息子ロマとともに住み慣れた家で暮らしている。ところが、1年後に選挙を控えた強欲な市長が、とある計画のため権力に物をいわせ、彼らの土地を買収しようと画策する。一族が代々暮らしてきた土地に強い愛着を持つコーリャは、モスクワから友人の弁護士ディーマを呼び寄せ、対抗しようとする。そのディーマは、市長の悪事の証拠をつかみ、彼に圧力をかけるが、強大な権力が牙を剥き、コーリャたちをどこまでも追いつめていく。 強欲な市長の執務室の壁には、プーチン大統領のポートレイトが飾られている。ディーマが握る悪事の証拠に危機感を覚えた市長は、実力者の司祭に相談を持ちかける
![ロシアの苛烈な現実を描き、さらに神話の域へと掘り下げる映画](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a5a321289105fbef507357940138c691a2d06691/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.newsweekjapan.jp%2Fooba%2Fassets_c%2F2015%2F10%2Fmain-thumb-720x480-81517.jpg)