融けるデザイン2020は出版5年を記念して、融けるデザインを著者なりに振り返りつつ、少しだけ融けるデザインその後を何回かに連載して書いていくものである。 今回は連載5回目。3章のタイトルは「第3章 情報の身体化――透明性から自己帰属感へ」である。 この章は本の帯にも書いている「自己帰属感」について書いている。おそらくインタフェース関連の書籍で自己帰属感という言葉を使うのは本書が初だろう。 道具は身体の延長、 カーソルもそういえるのか?前回の記事で、インタフェースの理想系は石器時代のような道具やラケットやハンマー、ということを述べた。こういった道具は使い続けるとそれ自体を意識しなくなり、対象の活動に集中できるようになる。身体の一部になり、透明化する。そしてその道具のチカラをも得る。身体が延長、拡張されるわけである。 下の図を見てほしい。上が物理的な道具、ラケットやハンマー。下がパソコンである