過去の自分へ「あきらめないで」 人口150人ほどが住むその日本の離島には郵便局が2つある。ひとつは普通の郵便局だが、もうひとつはこの30年あまり郵便局としての働きはしていない。 そこは「漂流郵便局」と呼ばれ、日本全国から寄せられる届け先のない手紙やハガキなど6万通以上を保管している。宛先は行方がわからなくなった友人やペット、過去や未来の自分、そして最も多いのが亡くなった人だ。 瀬戸内海に浮かぶ粟島(香川県三豊市)にある漂流郵便局は、ほかに行き場のない悲しみや希望、恋しい思いを届ける場所だ。そうした気持ちを言葉に綴ることで安らぎを得られるし、宛先が故人の場合は、この世とあの世をつなぐ役割も果たしてくれる。
