庶民の生活とともにあった猫。猫を描いた浮世絵は、時には時代背景をも映し出しました。絵師たちは、幕末の動乱や、西洋文化の流入によって変化した生活様式などを猫の姿を借りて表現しました。 古今東西を問わず、私たち人間の最も身近な動物である猫。江戸時代の人々も猫をペットとして可愛がっていました。近年、猫の可愛らしい姿を捉えた写真集や動画が人気ですが、それは江戸時代にも同じだったようです。江戸庶民の生活を活写した浮世絵のなかには、飼い主のそばでまどろむ猫、じゃれつく猫の姿を多く見つけることができます。しかし浮世絵に描かれる猫は、愛らしいだけではありません。説話に登場する恐ろしい化け猫や、人間のようにふるまうユーモアあふれる擬人化された猫たちも大活躍。そのバラエティー豊かな作品群からは、猫がいかに江戸の人々の生活に溶け込み、そして愛されていたのかが伝わってきます。 近年注目を集める歌川国芳は、そんな猫