首相への取材はかつて、記者団が官邸や国会で一緒に歩きながら質問する形式だった。小泉純一郎元首相(69)からは原則1日1~2回、立ち止まって質問に答えるぶら下がり取材の形が定着した。 鳩山由紀夫元首相(64)も1日2回だったが、菅直人前首相になると1日1回に減ったうえ、3月11日の東日本大震災を口実に、以降、内閣記者会の再三の要請にも一切応じず、テレビの政治ニュースでもおなじみの光景となったぶらさがり取材は姿を消した。 ■ ■ そんなぶらさがり取材の効果は“もろ刃の剣”と言っていい。小泉元首相は明快かつ当意即(そく)妙(みょう)のコメントで国民の人気を集め、政権浮揚につなげた。 しかし、鳩山元首相は米軍普天間飛行場の移設問題で「腹案がある」と口走るなど発言が迷走し、信用を失った。菅前首相は消費税増税やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、脱原発と、思いつきで大風呂敷を広げるも実行力