「祖国」という言葉は日本人にとって馴染みが薄い。それは、日本の学校で教えないからだ。日本の大人も、日本を「祖国」として語らない。しかし、誰にでも祖国はある。そして、日本国民である以上、誰にでも祖国としての日本がある。 独立総合研究所代表取締役社長兼首席研究員で、大学の客員教授や原子力委員会・専門委員などを務める青山繁晴氏の『ぼくらの祖国』(扶桑社/刊)はそんな言葉から始まる。 誰も語らないのだから、何かのきっかけがない限り疑問にすら思わないだろう。ましてや「祖国とは何だろう」と日常生活の中で考えることはほとんどない。 しかし、今、「祖国」としての「日本」が日本国民から見つめられつつある。日本と隣国間で起きている領土の問題や、3・11による原子力発電所事故から、自分の生まれ育った「日本」を見つめなおす機会を設けられたのだ。 ではどうして、私たちは「祖国」から遠ざけられてしまったのか。 青山氏