頭皮をかじり取られたハイガシラアホウドリのひな。南極圏に近いマリオン島で撮影。痛々しい姿から、海鳥が直面している侵略的生物の脅威が伝わってくる。200年前、なんらかの理由からアザラシ猟をする人々によって島に持ち込まれたネズミは、やがて海鳥を食べるようになった。新たな天敵を警戒する本能をもたない鳥たちは、ただじっと座ったままネズミに肉をかじられ、数日後に力尽きる。(PHOTOGRAPH BY THOMAS PESCHAK) ナショジオのカメラマンとして長年、野生生物を撮影してきたトマス・ペシャック氏は、悲惨な場面にも幾度か遭遇してきた。それでも、南アフリカと南極の中間に位置するマリオン島の現状を伝える映像は、それまでに見たことがない類のものだった。そこで氏は、生物多様性の宝石のようなこの島へ行き、巣に忍び込んだネズミに生きたまま皮膚をかじり取られたアホウドリやミズナギドリのひなの痛々しい姿を