学校の裏山にひっそりとある木工小屋広島市内さらには瀬戸内海までを見渡す丘の上に、広島学院というカトリック系の男子中高一貫校がある。校舎の背後はワイルドな裏山で、正門には「イノシシ出没注意」の張り紙がある。校地と裏山を隔てる小川には、夏、ホタルが舞う。 体育館の脇を抜け曲がりくねった坂道を上がっていくと、生い茂る緑のなかに隠れ家のようにたたずむトタン小屋が現れる。小屋のまわりは整理整頓されていて、その「住人」が几帳面であることがうかがえる。入口には「木工室」と小さな看板。しかし生徒たちが技術の授業で使用する作業小屋ではなさそうだ。 ただならぬ予感を覚え、胸が高鳴る。「ここは何ですか?」。校内を案内してくれる教員に私は尋ねた。「ロサドさんというカトリックの『ブラザー(Brother)』が、もう50年以上もここで学校のいろいろなものをつくってくれているのです」。 校地のいちばん高いところにロサド