2009年3月期の決算発表が始まった。昨年秋以降の世界的な景気悪化で、自動車や電機など輸出型産業を中心に大幅な赤字決算となる公算が大きい。こうした悪材料は既に年明けの2008年10~12月期決算発表の際に発表した業績予想の下方修正で“消火済み”と思われがちだが、火種はくすぶっている。 会計士との“攻防”に突入 「いまだに事業計画を待っている状態です」。4月中旬、ある大手監査法人の審査部門に所属する会計士は内情を打ち明けた。既に終わった2009年3月期決算の数字を確認するのが会計士の役割のはず。一体なぜ事業計画が必要なのか。それは2010年3月期以降の事業計画が、終わった前期決算のある数字を大きく左右するからだ。その数字とは、繰り延べ税金資産だ。 繰り延べ税金資産とは、将来、損金として計上できることを前提に、前払いした税金分を資産として積んでおく会計上のルール。ところが、しばらく利益が出ない