イーストプレス社発行の「まんがで読破 蟹工船」(580円)。蟹工船以外にも国内外の名作合計17冊がラインナップされている。 昭和4年に刊行された、小林多喜二の小説「蟹工船」(新潮文庫)が、最近、再び売れ始めている。 プロレタリア文学の代表作だけに、これまでも年間5000部ほどは売れていたのだが、今年に入って4月に7000部増刷。それでも品切れ状態になり、急遽5万部を再増刷した。その数、例年の100倍だ。 この突然のブームは、新聞紙上で発表された作家の高橋源一郎・雨宮処凜両氏の対談といわれている。その紙上で、現在のフリーターと状況と酷似しているという話が持ち上り、結果、若い世代を中心に売れているというのだ。 新聞で紹介されたことがきっかけで本が売れるということはよくある。確かに、低賃金で過酷な労働を強いられる「蟹工船」の貧しい労働者と、定職に就けずアルバイトで日々の生活を営むフリーター