1 思慮・分別の深いこと。 「大人びて―に物し給ふ人にて」〈栄花・根合〉 2 中世の歌学における美的理念の一。心情と言葉とが統一され、華やかさの中に寂しさを漂わす妖艶ようえんな余情美。心あり。→有心体 3 (狂歌を無心というのに対して)和歌のこと。 4 「有心連歌」の略。 5 仏語。物にとらわれた心。妄念。⇔無心。 〘 名詞 〙[ 一 ] ( 形動 ) 広く、生物が心の働き、感情の働きをもっていることを表わす。[初出の実例]「有心にして無心なる顔をするは」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)[ 二 ] ( 形動 ) ( 「深い心がある」の意 ) 深い心の働きのある状態を表わす。⇔無心。① 思慮、分別があること。考え深いこと。[初出の実例]「かのじじうでんのはらのみこたちを見よや。うしむにこそ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)② 優美な心があること。趣味を解すること。[初出の