(2013年3月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 衆参両院の同意を得て次期日銀総裁に就任することが確実視されている黒田東彦氏〔AFPBB News〕 政策の推進を急ぐ安倍晋三首相が日銀の次期総裁候補に黒田東彦氏を指名したことは、首相の意図の大胆さを示すものだ。 黒田氏を選んだ狙いは、15年ほど続いている日本のデフレを終わらせることにある。そのような試みは日本経済を揺さぶるだろうし、ことによると世界経済をも揺さぶるかもしれない。 この政策転換は必要ではあるが、リスクもはらんでいる。少なくとも短期的には、経済を不安定にする要因になりそうだ。手綱さばきを誤れば、この大変革は悲惨な結末を迎えかねない。 とはいえ、惨禍は既に迫りつつあった。今ギャンブルに打って出るか、後で没落するか――。これが日本の選択肢だった。 紛れもなく重要な日銀のトップ交代 今回の日銀のトップ交代は紛れもなく重要だ。黒田