DOA(データ中心アプローチ。DBシステム設計においてDB構造の検討を優先させる手法)の考え方では、それぞれのテーブル(エンティティタイプ)について、「リソース」か「イベント」かを区別するやり方が主流である。 主流派の向こうを張ろうってわけでもないのだが、筆者はデータモデリング手法の前提としてそれらを区別しない。なぜかというと、それらの区別が各テーブルの「絶対的な特性」ではなく、「相対的な傾向」でしかないと考えるからだ。ある文脈ではイベントとみなされるテーブルが、別の文脈ではリソース的なものに見えるなんてことが実際にはある。 たとえば、イベントの代表であるような「受注」や「売上」も、一定期間向けキックバックの計算過程においては、「顧客」同様にリソース的なものとして見える。また、リソースの代表であるような「品目」も、品目分類や商品企画を云々するモジュールにおいてはイベント的なものに見える。
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