パナソニックが、量販店からの返品に応じる代わりに価格を指定する取引形態の導入を進めている。家電の販売価格を巡ってはメーカーと量販店が激しく争ってきた歴史がある。新取引の導入背景をパナソニックの品田正弘社長に聞くとともに、量販店の受け止め方、こうした取引形態が広がるのかを探った。 パナソニック品田正弘社長「毎年新製品、やめていく」 ――これまでの家電開発は何が課題だったのでしょうか。 品田正弘社長(以下、品田) 顧客志向ではなく、プロダクトアウト(作り手目線)になっていた。例えば、洗濯機は8年に1度程度しか買い替えない。本来は8年前に製品を買ってもらった顧客の悩みをどう解決するか訴求しないといけないが、社内の提案資料を見ると前年モデルから何が進化したかが書いてある。これは消費者ではなく(量販店の)バイヤーを見ているということだ。相当な内向き志向だ。 家電は値下がりするのが当たり前になってい