元東京地検特捜部長 五十嵐紀男さん(83) 自民党派閥の裏金事件で、東京地検特捜部は近く関係者の刑事処分を判断する見込みだ。高い理想を掲げながら、規制が緩い政治資金規正法は「羊頭狗肉(ようとうくにく)のザル法だ」。数々の汚職事件を手がけた元特捜部長の五十嵐紀男さん(83)はそう憤り、抜本改正を求めている。 現在、弁護士として勤務する都内の事務所を訪ねた。「あの頃、検察庁の金看板が汚されている場面が繰り返しテレビで流されました。検察の権威失墜の象徴のように放映され、そのたびに胸を痛めました」。今も消えない悔しさをにじませ、特捜部長として陣頭指揮を執った1992年の東京佐川急便の巨額ヤミ献金事件を振り返った。